SOLDIERS in FF12

最強の矛：
その名のとおり、手に入れれば最終局面までお役立ちの優秀な武器。死都ナブディスという中盤で足を踏み入れることのできる場所にあって、かなりオイシイ宝物。
ただしラバナスタ・ダウンタウン、ラバナスタ宮殿、ナルビナ城塞地下、フォーン海岸にある特定のトレジャーをあけてしまうと、ナブディスから忽然と消えてしまう罠がある。そうなるとほとんど手に入らなくなると言ってもいい。
救済措置はヘネ魔石鉱の奥、出現率10％のトレジャーから10％の確率でギル以外のアイテムと判定されたのち、ダイヤの腕輪を装備しているときのみ、さらに10％の確率で拾える。

ファースト・トライ

Ｚ：　「いいかクラウド、おれたちはおまえの運のよさに賭けているんだ」
Ｓ：　「そうとも、ここに出現するレベル60以上のヘクトアイズだのギザマルークなど俺たちの敵ではないが、問題はトレジャーなのだ」
Ｃ：　「モンスターと喧嘩しなくていいってことか？」
Ｚ：　「いや、してくれても構わないけど、トレジャーの中身が外れだった場合、３エリアチェンジしなきゃならなくなる。いちいち戦ってるのも面倒だろ」
Ｓ：　「そうとも、そのトレジャーが出現するのさえ、たった10％の確率、そして中身がギルでない確率が10％。さらに我々のめざすものが出てくる当たりの確率はそのさらに10％だ」
Ｚ：　「つまり最強の矛を手に入れられる確率は０・１％ってことになる」
Ｃ：　「最強の矛って、そんなに強い武器なのか？」
Ｓ：　「む……どうかな」
Ｚ：　「使えるかどうかはともかく、とにかく手に入れる。これがコレクターの心意気だ！」
Ｃ：　「いつからコレクターに……まあいいや、行ってくる」
Ｓ：　「待て」
Ｚ：　「そうそう、忘れてくれるなよ。右手を絶対に壁から離すな。迷うから」
Ｃ：　「う、うん」
Ｓ：　「めざすトレジャーは、ふたつめの隠し通路の奥だ。ダイヤの腕輪は装備しているな？」
Ｃ：　「うう、うん」
Ｚ：　「大丈夫だな？」
Ｓ：　「行けるな？」
Ｃ：　「うん、行ってくる！」
（駆け出すクラウド）
Ｚ：　「ちがーう！　そっちは作業準備坑！　第二期採掘現場はこっち！」

セカンド・トライ

Ｓ：　「行ったか……」
Ｚ：　「あいつの運のよさが勝つか、ゲームのシステムが勝つか……」
Ｓ：　「ところで、最強の矛とやらは死都ナブディスに転がっていると聞いたことがあるのだが」
Ｚ：　「だーから、あんたもクラウドも、見つけたトレジャーを片っ端からあけすぎなんだよ。しょっぱなでダラン爺の家の前のトレジャーぶん取りやがって」
Ｓ：　「あれはクラウドが見つけたのだ。エリクサーが入っていたのだから、そう悪い宝物ではなかったと思うが」
Ｚ：　「それが罠なんだよ……エリクサー欲しさについつい拾っちまったが最後、ナブディスから最強の矛が消えちまう。そして、こうして凶悪なモンスターのひしめく迷路のような坑道を、何度も何度も走り抜け、ひたすらエリアチェンジを繰り返すことになる」
Ｓ：　「……虚しいと思わんのか。たった０・１％の確率に……」
Ｚ：　「ゲームをやりなおしたほうが早いんじゃないかって思うこともあるけど、こうなったら意地だろ」
Ｓ：　「………」
Ｚ：　「………」
Ｓ：　「ところで、遅くないか？」
Ｚ：　「迷ったかな？」

サード・トライ

Ｚ：　「だーかーら、トレジャーが見あたらなかったらすぐ引き返してこいよ。でなけりゃ、スタートボタン押して□ボタンでリセット。時間がもったいないだろうが」
Ｓ：　「おかげでラストエリクサーはだいぶ溜まったな。ダイヤの腕輪装備だと、ほかのトレジャーからはこればかり出てくるのか」（注：ダイヤの腕輪装備でラストエリクサーが拾える確率は10％（出現率ギル判定考慮外））
Ｃ：　「そうなんだ、すごいだろ。FF７じゃマスタートンベリを斃す以外には宿屋の棚から苦労してかっぱらうぐらいしかなかったのに、イヴァリースって、いっぱい転がってるんだ」
Ｚ：　「目的は最強の矛だろうが！」
Ｃ：　「だって、なかったんだもん！」
Ｚ：　「しょうがねえ、もう一度走れ」
Ｃ：　「またおれ？」
Ｚ：　「俺やセフィロスがトレジャーを引き当てられるほど運がいいと思うか？」
Ｃ：　「プログラムの確率なんだから、あんまり関係ないと思うけどな」
Ｚ：　「いいから行けよ！」
Ｃ：　「人使い荒いんだから」

（クラウド再出発。数時間経過）
Ｚ：　「また帰ってこねえよ……」
Ｓ：　「今度は本当に迷っているとしか思えんな」

（さらに数時間経過）
Ｃ：　「ただいま」
Ｚ：　「へっ？」
Ｓ：　「なぜ魔石鉱の入口から帰ってくるのだ？」
Ｃ：　「右手を離すなって言ってただろ。だからおれ、ずっと右手を離さずに進んだんだ。幻妖の森でオニオンクイーンやパンプキンスターと友達になったよ。ベリアスがいなかったからギルヴェガンには入らなかった。でも、そのあとが地獄だったな。パラミナ大峡谷は凍えそうだったし、ブルオミシェイスにもエルトの里にも食べものがないんだ。ゴルモア大森林にはたいしてうまそうなのいなかったし、モルボルを食うわけにいかないだろ。あ、でもオズモーネ平原はチョコボ天国だ。みんな幸せそうだったよ。それからギーザ草原通って東ダルマスカ砂漠に出たんだ。ナルビナのバザーじゃ、ジョヴィが張りきってたよ。モスフォーラ山地じゃ、はぐれチョコボを見つけたし……それにしてもサリカ樹林のモンスターたちって、なんであんなに可愛いんだろう。あ、そうそう、フォーン海岸でハント・ループとかやっててさ、おれ、よくわからないけど、それに登録された。貴重(レア)なんだってさ。そこからツィッタ草原通って……あ、ついでにセロビ台地の大工モーグリにティファの店の修理頼んできたんだ。請求はこっちによこすって。バーフォンハイムは魚がうまかったよ。ただ、お爺さんがひとり、釣竿を取られたってしょんぼりしてたけどね。ソーヘン地下宮殿、またマンドラーズが棲みついてた。もう悪さはしないだろうけど。それにしてもアルケイディスはなんとなく居心地悪いよな。乗りもので移動しなきゃならないのも、おれにはつらいよ。そこから引き返してナブレウス湿原通って、死都ナブディスも通過してきた。でも、モスフォーラ山地ぐるぐるまわってたら、なぜかまたサリカ樹林に出ちゃったんだ。おれ、きっとメビウスの輪にはまったんだな。だから、フォーン海岸でうろうろしてたチョコボにオズモーネ平原まで乗せてもらった。さすがに疲れたよ」
Ｚ：　「……………イヴァリースを一周してきたのか」
Ｓ：　「……西ダルマスカに行っておらんから一周にはならんが……確かに、いまの青スイッチ解除の状態なら第二期採掘現場を右手を離さずに進めば幻妖の森へ到達するが……その時点で気づかんものか」
Ｚ：　「で、最強の矛は？」
Ｃ：　「トレジャーは片っ端からあけたけど、そんなもの、どこにもなかった」
Ｚ：　「わかった。結局、最強の矛がないんじゃ、もう一度だな」
Ｃ：　「ええ？　また世界一周してくるのか？」
Ｓ：　「ゲームをやりなおしたらどうだ」

クラウドのイヴァリース遍歴は、チョコボで通れる道を通ったときの場合です（クラウドなのでチョコボの道を徒歩で通れるから）。普通にサイドライトを守り通した場合、モスフォーラ山地から東ダルマスカ砂漠、竜のねぐらを通って西ダルマスカ砂漠に出て、そのままオグル・エンサ、ゼルテニアン洞窟、ナム・エンサと到達できます。さらに右へ右へとマップに沿って進んでいくと、ヘネ魔石鉱にぴったり戻ります。一周するとかなりのレベルアップ！（ただし時間の無駄）

フォース・トライ

Ｚ：　「今度こそ頼むぞ、クラウド。ヘネ魔石鉱から出ないようにな。幻妖の森という文字が点線の上に出ていたら、そのエリアラインは越えるんじゃないぞ」
Ｃ：　「あのさあ、おれに迷子になるなとか、モンスターと遊ぶなとか、買い食いするなとか、いろいろ注意するより、あんたが行ったほうが早いと思うけどな」
Ｓ：　「四の五の言うな。これはおまえの任務なのだ。見事、最強の矛を持って帰れたら、ワイルドザウルスのマンモス焼きを――」
Ｃ：　「いっつもそれじゃないか。飽きたよ」
Ｚ：　「いいから行ってこいよ。あ、そうそう、この首輪つけてな」
Ｃ：　「なんか変なこと考えてないか？」
Ｚ：　「いや？　この首輪はお守りだ」
Ｃ：　「ふうん」
Ｚ：　「準備オッケー、さあ行ってこい！」
Ｃ：　「おー！」

（クラウド出発後）
Ｓ：　「で、あれが迷子になったときの策は打ってあるのだろうな？」
Ｚ：　「まあな。これなんだけどさ」
Ｓ：　「なんだ、そのロープは」
Ｚ：　「あいつ、首輪つけていったろ？」
Ｓ：　「俺に断わりもなく、おまえ、ずいぶんとおいしいことをしているではないか」
Ｚ：　「こらこら、嫉妬して正宗出すなよ。次はあんたにやらせてやるから。このロープの伸びようが、あいつの歩いた距離がわかるようになってて、ほら、そろそろ到達……って、まだ先に行こうとしてるし」
Ｓ：　「ふむ、そこで、こちらからひっぱって引きずり戻すわけだな？」
Ｚ：　「そのとおり」
Ｓ：　「あれが気づいて、ぶち切ったらどうするつもりだ」
Ｚ：　「……考えていなかった。というか、あいつが気づくとは考えていなかった」

（ロープ回収。しかし釣れたのはヘクトアイズ）
Ｚ：　「げえっ！」
Ｓ：　「むっ」（ざくり）「……またつまらんものを刺してしまった……いずれにしても、クラウドもそれほど、おばかではなかったということか」
Ｚ：　「だからって、ヘクトアイズに巻きつけなくたって……おれはステータス防御してるからともかく、セフィロスが混乱したらどうしろってんだよ」
Ｓ：　「何事もなかったのだ。ぶつぶつ言うな。ところで、糸の切れた雲はどこへ行ったと思う」
Ｚ：　「………」
Ｓ：　「そろそろ諦める気になったか？」
Ｚ：　「いや！　世の中には何百回とチャレンジして、それでもさらにマラソンを続けるプレイヤーがいるんだ！　たかだか四回の空振りで棄権なんて情けなさすぎる」
Ｓ：　「仕方がないな、まずはチョコボを回収してこよう」

フィフス・トライ

Ｚ：　「今度こそ……」
Ｓ：　「この魔石鉱に詳しいゾディアークを召喚して見張りにつけていったから、大丈夫だとは思うが」
Ｚ：　「あたり構わずラストエクリプスぶっ放してないだろうな？」
Ｓ：　「あれは召喚者が石化中のときにしか使わんだろう」
Ｚ：　「あ、そうか。バニッシュレイでちまちま攻撃しててくれりゃ、クラウドも楽だろうな……お、帰ってきた」
Ｃ：　「ただいまー、あ、ゾディアーク、ご苦労さん」
Ｚ：　「やれやれ、ようやくまともに帰ってこれたな」
Ｃ：　「どういう意味だ……でも、めぼしいお宝なかったよ。黒マテリアも見つからなかった」
Ｚ：　「そんなもん見つけるなよ」
Ｓ：　「そのみすぼらしい槍はなんだ」
Ｃ：　「さあ？　二番めの隠し通路のトレジャーから拾った」
Ｚ：　「!!」
Ｓ：　「!!」
Ｚ：　「まさか……」
Ｓ：　「そんな……馬鹿な……。０・１％の確率だったのではなかったか？」
Ｃ：　「なんだよ？」
Ｚ：　「クラウド！　いまからすぐにセーブだ！」
Ｓ：　「うむ、隣のエリアにクリスタルがある。失くさないうちにな」
Ｃ：　「よくわからないけど、もう行かなくていいってことか？」

その後

Ｃ：　「そうか、これが最強の矛なんだな！」
Ｚ：　「おれはまだ信じられねえよ」
Ｓ：　「見たところ、そうたいした武器には見えんが」
Ｚ：　「まあまあ、装備してみりゃわかるって。どうだ、クラウド？」
Ｃ：　「………」
Ｓ：　「どうした？」
Ｃ：　「これ、本当に最強の矛なのか？」
Ｚ：　「おまえまで、なんだよ。攻撃力あがるだろ？」
Ｃ：　「力とか回避とか、全然あがらないんだけど」
Ｓ：　「……それは……」
Ｚ：　「うう、まあ……あがらないかもな」
Ｃ：　「なんで？」
Ｚ：　「クラウド、このゲームでは力の値は99で打ち止めなんだ」
Ｃ：　「おれ、すっぴんでそのくらいあるぞ？ 攻撃力も常時255だ。FF７時代にパワーアップひたすら飲まされたからな」
Ｚ：　「だから、あがらないんだよ……てか、７じゃアップ系の薬で強くなり放題だったからなあ」
Ｓ：　「ようするに俺たちにとっては、ミスリルソードを持とうが、トロの剣を持とうが、はたまた計算尺を持とうが、あまり関係がないということだな」
Ｃ：　「なんだよ、じゃあ、なんのためにおれが苦労しなきゃならなかったんだ？」
Ｚ：　「いいじゃねえか、おれが嬉しい。友達のためにひと肌脱いでくれたって満足感ぐらい、味わえただろ？」
Ｃ：　「こき使われただけだ」（すたすた）
Ｓ：　「ふん、コレクターになりたければ、俺たちを巻きこまんで、勝手にひとりでやっていろ。なんなら空き瓶でもどうだ。他人に迷惑がかからんどころか、リサイクル運動にひと役買えるし、ネブラ河でよく釣れるぞ」（すたすた）
Ｚ：　「おおい、なんだよ、使えねえわけじゃねえだろ。最強の矛っていったら、その名のとおり攻撃力150はある武器なんだぜ？　おまえらが普通じゃねえんだって。なあ……聞いてくれよ。待ってくれってば。おれを置いていくな！」

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