UTILITY MEN

　ある日、スコールがクラウドに訊ねた。「あんた、結婚していたことがあるんだろ」
　クラウドは頷く。手は花壇の柵をぐいぐい曲げ、修繕を続けていた。
「どんなものなんだ？」
「は？」彼は手を止めて振り返った。
「だから……」スコールは腕を組んで考えこみ、頭の中を少し整理した。「つまり、墓場と言うやつもいるし、幸せで肥ったってやつもいるし、いいことなのかどうなのか、よくわからないんだ」
「そうだろうな」クラウドはまた作業に戻る。「でも、リノアと結婚するにはまだ早いんじゃないか？」
「いや、そういうわけじゃない。ただ訊いてみたくなった」
「そうだなあ」クラウドはまた手を止め、空を仰いだ。「人それぞれだろうけど、おれは彼女とは友達だったな」
「友達？」スコールは眉を寄せた。「恋人じゃなくて？」
「恋人だったこともあるよ」
　スコールは首を傾げた。
「おれ、初恋の女の子と結婚したんだ」クラウドは向きなおり、腰を据えて話そうという気配を見せる。「小さい頃は気になって、ついつい目をやってしまうって存在でさ、そのあとは守りたいって存在になった。そのうち頼れる仲間になったし、ときどき甘えてもくる可愛い子だったし、おれも甘えたし。助けたり助けられたり、喧嘩もしたしね。そうやってつきあっていくうちに、ちゃんと一対一の関係になっていくんだ」
　そうか、チョコボの世界も俺たちとあまり変わらないんだな。
「おれ、わけあってさ。彼女に結婚申しこむ権利はないと思ってたんだ」クラウドはふと遠い目をする。「子ども作れないし、いっしょに過ごしてやれる時間も少ないしさ。彼女のことを思えば別れたほうがいいのかもしれない、そんなふうに考えもしたよ」
　そこでクラウドはくるりとスコールに向きなおった。「そしたら彼女、なんて言ったと思う？」
「なに？」
「友達じゃないかって」
　スコールはよくわからなかった。「それで結婚したのか？」
「うん。恋人ならいっしょにいるだけでも楽しいよな。幸せだし、あったかいしね。まわりが見えなくなるくらい夢中になれる」クラウドは青い目をきらきらさせ、ぐるりと両手をまわした。「でも、友達は一生つきあっていけるんだ」
　ふうん。スコールはまだよくわからなかったが、なんとなくチョコボがほかほかしているようだったので口を挟まなかった。
　友達か。
　ふうん。

Ｃ：　What kind of book are you reading?
Ｓ：　I'm looking into love marriage.
Ｚ：　He seems to study about steady friendship.