FF7 MEMORIES

「行くぞ、新入り！　オレに続け」

「さっすがソルジャー！　でもよ、反神羅グループ【アバランチ】にソルジャーが参加するなんてすげえよな！」
「その話ってほんとだったの？　ソルジャーっていったら、わたしたちの敵でしょ？　どうしてそのソルジャーが、わたしたちアバランチに協力するわけ？」
「早とちりするな、ジェシー。元ソルジャーなんだってさ。いまはもう、神羅を辞めちまって、俺たちの仲間ってわけさ。まだ名前聞いてなかったよな。教えてくれ」
「……クラウドだ」
「クラウドか。俺は……」
「あんたたちの名前なんて興味ないね。どうせこの仕事が終わったらお別れだ」
「なにやってんだ、おまえたち！　かたまって行動するなって言ってんだろ！　ターゲットは壱番魔晄炉。魔晄炉前のブリッジに集合だぞ！　元ソルジャー……チッ、信用できねえな」

　俺は出口を確保しておくっす！　しっかし、この大きな魔晄炉を爆破するなんて……見ものっすね！

「……おいおまえ、魔晄炉は初めてじゃないんだろ？」
「まあな。ソルジャー……神羅カンパニーの人間だったからな」
「この星は魔晄エネルギーに満ちている。住民はその魔晄エネルギーを使って日々生活している。でも誰も魔晄の本質を知らねえんだ。おまえ知ってるか？　魔晄はこの星を流れる血だ。それを神羅って会社はガンガン吸い出していやがる。この変ちくりんなスクラップでな……」
「能書きはいい。先を急ごう」
「クッ……。よし、ここからはオレといっしょに行動してもらうぜ」

　わたしとビッグスがここのドアロックの暗号を手に入れたの。
　ここの暗号を入手するために何人の仲間が犠牲になったことか……。

「さ、そこのボタンを押して！」
「スイッチオン」
「魔晄炉のせいで、この星の命は毎日削られていく。そしていつの日か……ゼロだ」
「悪いけど興味がないな」
「星が死んじまうんだぞ。えっ、クラウドさんよ！」
「俺が考えているのは、さっさと仕事を終わらせたいってことだけだ。警備兵やガードロボットが来ないうちにな」

「ここも、ぶっ壊しちまえばただのガラクタだぜ！　クラウドさんよ、この爆弾をセットしてくれ」
「あんたがやったほうがいいんじゃないのか？」
「オレ？　オレは見張らせてもらう。おまえさんがおかしな真似をしないようにな」
「……好きにしてくれ」
『目を覚ませ、ここはただの発電所じゃない！』
「……うした？」
「え？」
「どうした、クラウドさんよ？　早くしてくれ！」
「……ああ、すまない」

「本格的にやってくるぜ」

「さあ、脱出だ」（爆発10分前）

　ジェシーがまだあがってきてないんだ。

「大丈夫か？」
「迂闊！　足が挟まって……サンキュー！」

　行くぞ！
　さ、あせらないで。

「星の命……ちょっとは延びたかな」
「そうっすね」
「………」
「できた！　退がって」

「さあ引き揚げるぞ！　ランデブー地点は八番街ステーション！　各自単独行動、列車に乗りこむんだ！」
「お、おい！」
「金の話なら無事にアジトに帰ってからだ」

　ねえ、なにがあったの？

　早く逃げたほうがいい

そうなの？　なんだかわからないけど、そうするわ。

　気にするな、それより……花なんて珍しいな

あ、これね。気に入ってくれた？　１ギルなんだけど、どう？

　もらおう

わあ、ありがとう！　はい。

　やめとくよ

ちょっとがっかりかな。

　気にするな、それより……いや、なんでもないんだ

もう、気になるなあ。あっ、ねえ、お花はいらない？　たった１ギルよ。

　もらおう

わあ、ありがとう！　はい。

　やめとくよ

ちょっとがっかりかな。

　いったい、なにが起こったっていうのよ。
　なにか壁に書いてあるな？　なになに……。『神羅に騙されるな！　魔晄エネルギーは永遠ではない！　魔晄は星の命！　いつか終わりがやってくる！　星の救世主：アバランチ』

「おい、そこの男！」
「神羅兵か……。（やってやる！／めんどくさいから逃げる）」
「何事だ！」
「チッ！（やってやる！／めんどくさいから逃げる）」
「こっちだ！」
「チッ！（やってやる！／めんどくさいから逃げる）」

「ここまでだな」
「残念だが、おまえらの相手をしてるほど暇じゃないんでな」
「たわごとを……よし捕らえろ！」

「クラウドさん、来なかったっすね」
「クラウド……やられちまったのかな」
「ケッ……あの野郎が、金ももらわねえでいなくなるわけねえだろ！」
「クラウド……」
「なあクラウドってさ……最後まで俺たち……アバランチのために戦ってくれんのか？」
「さあな……知らねえよ。チッ！　おまえらが、もう少し頼りになりゃよ……あんな野郎、雇わねえでもいいんだがな……」
「あ、バレットさん、俺たちの給料……や、なんでもないっす……」
「ふっ〜〜〜」

「クラウド！」
「約束の時間に遅れたようだ」
「おい遅刻野郎！　ずいぶん派手なお出ましじゃねえか」
「そうでもない。普通だ」
「ケッ！　心配させやがって、勝手な野郎だ！」
「ほう……？　心配してくれたのか」
「なにっ!?　チッ……遅刻のぶんは報酬から引くからな。おいおまえら、場所変えるぞ。ついてこい！」
「あっ、クラウドさん、お疲れっす！」
「へへ……クラウド、次の作戦も頑張ろうな」
「危ないから閉めとくね。やだ、クラウド！　顔真っ黒……はい、できあがり。ね、魔晄炉で助けてくれてありがとう！」

『ミッドガル八番街ステーション発最終列車〜。終点スラム七番街列車墓場駅〜。到着予定時刻はミッドガル時０時23分……』
「これだから終電はまいるよ……はあ……」

　ん……？　ここは俺ん家だから、まあゆっくりしてけ。
　神羅新聞の号外見たかい？　壱番魔晄炉爆破のテロリストはスラムに潜んでるらしいぞ。しかし魔晄炉爆破とは考えたよな。リーダーはさしずめ、頭の切れるやつだな。次はなにをやるんだろな？
　子どもじゃねえんだ、じっとしてろよ。
　頼みますよう！　ほかのお客さんの迷惑になりますから……。

　まだ列車の非常警備体制には移行してないみたいだな。明日は、そうはいかないだろうけどな。さすがに疲れたよ。駅に着くまで眠らせてくれ。

　アバランチで名をあげて、いつか俺だって……っす。クラウドさん、俺にも明るい将来が待ってるっすよね！

　なにを期待している？

俺、いままでずっと人生脇役って感じで生きてきたっすよ。でもアバランチに入って星の生命を救えば、こんな俺でも……いろいろとね。

　無理だな

ああ、ひっどいなあ、クラウドさん。やっぱダメっすかね。そうすかね。

「ね、クラウド。いっしょに見ない？　ミッドガル列車路線図ディスプレイ。ふたりで見ればきっと楽しいと思うの。わたし説明してあげるね。わたし、こういうの好きなのよ。爆弾とか、モニタ画面とか、ハイテク関係。さ、始めるわよ。これが魔晄都市ミッドガルの全景フレームモデルね。スケールはだいたい１/10000ってとこかな。上のプレートは地上から約50Ｍ離れているの。プレートを支えているのは中心の大きな支柱と各区画に建てられた柱……柱は機械塔とも呼ばれてるわ。（爆破した壱番魔晄炉が北の外れにあるの）そこから順に、二、三……八番魔晄炉まで、八つの魔晄炉がミッドガルの電力供給を支えているのよ。それぞれの街には名前もあったんだけど、ミッドガルに住む人は誰も憶えちゃいないわ。名前なんかより番号で呼ぶの。そういうところなのよ、ここは。ふう……次はこれ。ほら見て。わたしたちがいま乗っている列車のルートがこれよ。プレートを支えている大きな柱に螺旋状にレールが通っているの。いまは柱のちょうど真ん中あたりね。各通過ポイントにはID検知エリアが設置されてるの。乗客すべての身分やなにから全部、神羅ビルのホストコンピュータと連動してチェックされちゃうわけよ。（わたしたちはどう見たって不審人物だから、ニセのIDで通過してるの）」

「噂をすれば、ね。この光がID検知エリア通過のサインなの。（暗くなるから痴漢が多いのよ、ID検知エリアは……）ま、それはさておき、もうすぐ地上に帰れるってわけ。なんだかほっとするね」

　そうだ、クラウド。今度、わたしの手作り作品をプレゼントしちゃおうかな。

　遠慮しとくよ

そう、きっと後悔するかもよ。わたし、ズガッーンと根に持つタイプなの。

　楽しみにしてるよ

うん、じゃ、腕によりをかけてドッカーンと製作するわ。

　もうすぐ駅に着くね。クラウドといっぱい話せて燃えたわ。わたし、導火線に火が点いたかもよ。
　目がチカチカしたっす。俺暗いのダメっす。苦手っす。
　スースー……ムニャムニャ……。（バレット、威張ってんじゃねえぞ……）

「見ろよ……地上が見えてきたぜ。昼も夜もねえ、オレたちの街がよ。ミッドガルのプレートさえなけりゃなあ……。でっけえ空が拝めんのになあ」
「空中に浮かぶ都市か……落ち着かない風景だな」
「はあ？　あんたがそんなふうに感じるとはな……意外だぜ。上の世界……プレート都市……あの腐ったピザのせいで、下の人間がどんなに苦しんでることか……下の世界は、いまじゃあ、汚された空気の溜まり場だ。おまけに魔晄炉はどんどんエネルギーを汲みあげちまう。おかげで土地は枯れるいっぽうだ。空気をきれいにする力もなくしちまった」
「どうしてみんな、上へ移らないんだろう……」
「さあな。金がないからだろ。いや、それとも……どんなに汚れていても地べたが好きなのかもな」
「わかってるさ……。好きでスラムに住んでるやつなどいない。みんな、この列車と同じ。敷かれたレールには逆らえないんだ」