FF7 MEMORIES

　あれ……ケット・シーよね。なんだか様子がおかしいわよ。

「あいつが持ってるのは、キーストーンじゃないのか？　おい、ケット・シー！」

　なにしてんだ、早くケットシーを追うぞ！
　ゆっくりしてる暇はないわよ。早くケット・シーを追いましょ！
　そんな場合じゃない、でしょ？　早く、ケット・シー、追いましょ！
　そんな、ゆっくりしてていいのか？　ケット・シーを追うんじゃないのか？

「ほら、これや、キーストーンや！」
「ご苦労さまです」
「おい！」
「ちょちょ、ちょっと待ってーや。逃げも隠れもしませんから。確かにボクはスパイしてました。神羅のまわしもんです」
「ふざけるな！」

　薄汚え野郎だぜ！
　ふざけないでよ！
　……信じてたのに、がっかり！

「しゃあないんです、すんでしもたことはどないしょうもあらへん。なあーんにもなかったようにしませんか？」
「ずうずうしいぞ、ケット・シー！　スパイだとわかってて、いっしょにいられるわけないだろ！」
「ほな、どないするんですか？　ボクを壊すんですか？　そんなんしても無駄ですよ。この身体、もともと玩具やから。本体はミッドガルの神羅本社におるんですわ。そっからこの猫の玩具、操っとるわけなんです」

　誰だ、てめえ！　本当の名前を教えろ！
　それじゃあ正体は神羅の人間なのね。誰なのよ？
　正体は神羅の人、ね？　だーれ？　あなた！　言いなさい！
　神羅の人間！　おまえ、誰だ？

「おっと、正体は教えられへん」
「話にならないな」
「な？　そうやろ？　話なんてどうでもええから、このまま旅、続けませんか？」
「ふざけるな！」
「……確かにボクは神羅の社員や。それでも、完全にみなさんの敵っちゅうわけでもないんですよ。……どーも、気になるんや。みなさんの、その、生きかたっちゅうか？　誰か給料はろてくれるわけやないし、だあれも褒めてくれへん。そやのに命かけて旅しとる。そんなん見とるとなあ……自分の人生、考えてまうんや。なんや、このまま終わってしもたらあかんのとちゃうかってな」

　へっ！　騙されないぜ！
　また嘘ついてる。
　〜とかなんとか言ってえ。
　怪しい〜。

「正体は明かさない、スパイはやめない、そんなやつといっしょに旅なんてできないからな。冗談はやめてくれ」
「……まあ、そうやろなあ。話しあいにもならんわな。ま、こうなんのとちゃうかと思て準備だけはしといたんですわ。これ、聞いてもらいましょか」
「父ちゃん！　ティファ！」

　バレット
　マ、マリン!?
　あ！　父ちゃんの声だ！　父ちゃん！　マリンね！

　ティファ
　マリン！
　あ！　ティファの声だ！　ティファ！　あのね！

　エアリス
　あっ！　マリンの声！
　あ！　お花のお姉ちゃん！　お姉ちゃん……。

　ユフィ
　……マリン？
　あ！　クラウドの声だ！　クラウド！　あ……。

「……というわけです、みなさんはボクの言うとおりにするしかあらへんのですわ」
「……最低だ」
「そりゃ、ボクかってこんなことやりたない。人質とか卑劣なやりかたは……まあ、こういうわけなんですわ。話しあいの余地はないですな。いままでどおり、仲ようしてください。明日は古代種の神殿でしたな？［武器職人の小屋に行ってない：　そういや、みなさんは知らんかったみたいやけど。キーストーンは古代種の神殿への鍵なんです。どちらにしろ、みなさんも行くんですよね？］　場所知ってますから、あとで教えますわ。神羅のあとになりますけど、まあ、そんくらいは我慢してくださいな」
「……仕方がないな。言うとおりにしよう」

　すまねえ、クラウド。
　……マリン。
　マリン、大丈夫かな……お母さん、どうしたのかな。
　う、うん。

「えらいゆっくりですな、クラウドさん！　せや、【古代巣の神殿】の場所やけど、ここからタイニーブロンコで海に出て東に進んでいけばありますわ。ほな、そろそろ行きましょか。誰が行くんですか？」
「わたし、行きたい！　絶対、行くから！」

　ちくしょう！　オレも行くぞ、クラウド！　身体、動かしてねえとダメだ！
　なんだか……ううん、なんでもない。早く行きましょう。
　なんか、尻尾にびんびん来るよ。行こう、クラウド！
　なんか、ドキドキしてきたよ。
　古代種の神殿はこっから東ですわ。ほな、行きましょか？
　古代種の神殿か……非常に興味深いな。
　なんでもいいから、さっさと行くぞ！

「ほな、またあとで」

　男……。
　いい男……。
　どこ……。
　オホホホホ……。
　キ〜〜〜ッ！
　ガルルル。
　ハァハァ……。

　はぁ、俺なんかじゃ資格がねえよ。どうしたらいいんだろ。

「ここ……古代種の神殿……わたし、わかる……感じるの……漂う……古代種の意識。死んで星とひとつになれるのに、意志の力で留まってる……未来のため？　わたしたちのため？」
「なんて言ってる？　わかるのか？」
「不安……でも、喜んでる？　わたし、来たから？　ごめんね……わからない。早く、ねえ、なかに入りたい！」

　黒……マテリア。
　見て……。
　ナンバー９だとよ。首に刺青がある。
　ナンバー９。ここにも刺青の男ね。
　ナンバー９だね。刺青があるよ。
　この人も刺青してる！　えーと、ナンバー９かな。
　おや？　ナンバー９の刺青やな。
　ナンバー９の刺青だ。
　おい、刺青してやがるぜ。ナンバー９だとよ。

「あっ！　ツォン！」
「タークスのツォンか？」
「くっ……やられたな。セフィロスが……探しているのは……約束の地じゃない……」
「セフィロス？　なかにいるのか？」
「自分で……確かめるんだな……くそっ……エアリスを……手放したのがけち……の……つきはじめ……だ……社長は……判断をあや……まった……」
「あなたたち、勘違いしてる。約束の地、あなたたちが考えてるのと違うもの。それに、わたし、協力なんてしないから。どっちにしても神羅には勝ち目はなかったのよ」
「ハハ……厳しいな。エアリス……らしい……言葉だ。キーストーン……祭壇に……置いて……み……ろ」
「泣いているのか？」
「……ツォンはタークスで敵だけど、子どもの頃から知ってる。わたし、そういう人、少ないから。世界じゅう、ほんの少ししかいない。わたしのこと、知ってる人……」

　私は……まだ生きている……。

「ここにキーストーンを使えば……」

「言葉が……思いが……ここにある」

　ひゅー！　これが古代種の神殿かよ！　ウッ〜、冗談じゃねえ。眩暈がするぜ！　おう、クラウド！　迷うんじゃねえぞ！
　不思議な場所ね。わたしたち、歓迎されてるのかしら？
　クンクン……ここ、いい匂いするよ。コスモキャニオンとおんなじ、星の匂いするよ。
　うひゃー！　こりゃ、大変だよ。目まわってきたよ……アタシ。
　へ〜、ごっつう広いなあ。なんや、気い遠なりそうやわ。
　出口なしか……。もう戻れないぞ。
　クソッ！　クソッ！　クソッ！　なんだってんだ、ここは！

「……クラウド！　ここ、いろいろ大変だと思うけど、投げ出さないで！　頑張ろう、ね！」

　封印されている……？　なんだか懐かしい響きだな。

　ねむねむ……。
　うん！　やっと会えたね。ごめんね、待っててくれたんだ。彼らは古代種の精神体。ずーっと長いあいだ星に還らず、この神殿を守りつづけてる。長い年月は彼らから言葉を失わせた。ううん、最初から言葉は要らなかった。神殿に留まった者たちの目的はひとつだったから。ねえ、教えて！　ダメ……あとはわからない。怯えているの……？　セフィロスが神殿にいるから？　それとも、ほかのこと？

　ねむねむ……。

　買いものできるか？
　休ませてくれ
　記録したいが

　ここは古代種の神殿だ。簡単には戻れない。それでもいいだろうか。（気が変わった／記録する）

　用はないな