FF7 MEMORIES

　ヘイ！　あけてくれってんだよ！　ベイビー！　俺だよ！　ジョニーだよ！　かあちゃーん!!

　この家にはテレビがあんだけどよ。ケチなおばさんが入れてくんねえのさ。まあ見てろって。そういえばよ、この七番街スラムも街頭テレビがあったんだけどよ。そいつをぶっ壊したのがあのバレットさ。ガンガンガンガンガンガン！　って、例の腕ガンでいきなりだぜ。あんときは確か、プレジデント神羅が出演してたな。今日のニュースでもプレジデント神羅が出るだろうからよ、こりゃ、ティファちゃんのお店のテレビもやばいかな。

　あなた知ってる？

　なにを……

あのティファちゃんのお店のことよ。セブンスヘブンって酒場、わたしは事情通のうえにお節介だから、いろいろ知ってるのよね。聞きたいでしょう？

　すごく聞きたい

あの酒場の名物バレットと手下の三人、ときどきこうなのよ。突然お客を追い出してごちゃごちゃやってるの。なにか怪しいのよ。火薬の臭いとかするのよね。危ないわ、きっといけないことをしてるに違いないわ。

　興味ない

あ、そ！　あなたってクールなのね。

　興味ない

あ、そ！　あなたってクールなのね。

　異常なし！　ただいまスパイ中！　ああ、なんか報告できました！　報告〜報告〜！

　ね、もっとそばにおいでよ。
　だって……
　いいだろ？
　でも……そこの人。
　ん？　きみ、ずいぶん堂々としてるね。覗きは遠慮してくれないかな？

　もしかして俺、かたまってます？

　ああ……

次の作戦は五番魔晄炉爆破。俺、緊張しちまってガチガチなんすよ。クラウドさんはさすがっすね。全然緊張とかしないでしょ？　もしかして、なにも感じないとか？　エヘヘ……そんなわけないっすよね。

　いや……

いやー、いいっすよ、気を使ってくれなくても。俺、身体に似合わず小心者ですから。

　迂闊。見てよ、このニュース……こんなに爆発してる。やっぱり、わたしの爆弾のせい？　でも、このコンピュータの指示どおり作っただけなのに。やだ、どこかで計算間違ったかしら。でも、わたしの爆弾の晴れ舞台、ちょっと嬉しいんだ。
『ＴＶ：　壱番魔晄炉破壊事件に関してアバランチと名乗る組織から犯行声明が出されています。声明によると、アバランチは今後も同様のテロを続けることを予告しております。しかしミッドガル市民のみなさん、安心してください。我々神羅カンパニーでは、このような暴力からみなさんを守るためにソルジャーの投入を決定しました。これで……』

「おい、クラウドさんよ！　聞きたいことがあるんだ。今日オレたちが戦った相手にソルジャーはいたのか？」
「いや、いなかった。それは確実だ」
「ずいぶんと自信たっぷりじゃねえか」
「もしソルジャーと戦っていたら、あんたたちが生きてるはずないからな」
「自分が元ソルジャーだからって、えらそうに言うんじゃねえよ！」

「………」
「確かにおまえは強い。おそらくソルジャーってのは、みんな強いんだろうさ。でもな、おまえは反乱組織アバランチに雇われてる身だ。神羅の肩を持つんじゃねえ！」
「神羅の肩を持つ？　俺はあんたの質問に答えただけだ。俺は上で待っている。報酬の話がしたい」

　チッ……ほ、報酬かよ……。
　とうちゃーん、かっこいい。

「待ってクラウド！」
「ティファ、そんなやつ放っておけ！　どうやら神羅に未練タラタラらしいからな！」
「黙れ！　俺は神羅にもソルジャーにも未練はない。でも勘違いするな。星の命にも、おまえたちアバランチの活動にも興味はない！」

　みんなには謝っておくね。
　報酬……ああ、まいったわ。確か高額って約束よね。うーん、ま、いいか、口約束だし。さ、計算しなきゃ……やだ、クラウド！　聞こえちゃったかしら。

　クラウドさん興味ないとか言いながら……俺に話しかけてる。クラウドさん……ほんとは友達欲しいんっすよね。ね、そうなんでしょ？

　冗談じゃない

そうかなあ、なんか寂しそうなんだけど。俺みたいなのでよかったら、いつでもOKっすから。

　やっぱり興味ない

ひどいなあ、冷たいなあ。

「クラウド、お願い、力を貸して」
「ティファ……悪いけどさ」
「星が病んでるの。このままじゃ死んじゃう。誰かがなんとかしなくちゃならないの」
「バレットたちがなんとかするんだろ？　俺には関係ないさ」
「あーあ、本当に行っちゃうんだ！　可愛い幼なじみの頼みも聞かずに行っちゃうんだ！」
「ん……？（よく言うぜ！／……悪いな）」
「……約束も忘れちゃったんだ」
「約束？」
「やっぱり忘れてる。思い出して……クラウド。あれは七年前よ……。ほら、村の給水塔憶えてる？」
「ああ……あのときか。なかなか来なくて、ちょっと寒かったな」

「お・ま・た・せ。なーに？　話があるって」
「俺……春になったら村を出てミッドガルへ行くよ」
「……男の子たちって、みーんな村を出てっちゃうね」
「俺は、みんなとは違う。ただ仕事を探すだけじゃない。俺、ソルジャーになりたいんだ。セフィロスみたいな最高のソルジャーに」
「セフィロス……英雄セフィロス、か。ソルジャーになるのって難しいんでしょ？」
「……しばらくのあいだ村には戻れないな、きっと。……うん？」
「大活躍したら新聞にも載るかな？」
「頑張るよ」
「ね、約束しない？　あのね、クラウドが有名になって、そのときわたしが困ってたら……クラウド、わたしを助けに来てね」
「はあ？」
「わたしがピンチのときにヒーローが現われて助けてくれるの。一度くらい経験したいじゃない？」
「はあ？」
「いいじゃないのよ、約束しなさい！」
「わかった……約束するよ」

「思い出してくれたみたいね、約束」
「俺は英雄でも有名でもない。約束は……守れない」
「でも、子どもの頃の夢を実現したでしょ？　ちゃんとソルジャーになったんだもの。だから、ねっ、今度こそ約束を……」
「おい、ちょっと待て！　ソルジャーさんよ、約束は約束だからな。ほら金だ！」

「こんなしけた報酬、冗談じゃないな」
「え？　それじゃ！」
「次のミッションはあるのか？　倍額の3000で受けてやってもいい」
「なんだと……！」
「いいから、いいから。（人手に困ってるってのが本音でしょ？）」
「う……ぐう……。（残りのへそくりはマリンの学費だぞ……）2000だ！」
「ありがとう、クラウド」

　おはよ、クラウド。よく眠れた？

　バレットの鼾がうるさくて……

（だめ……聞こえちゃうよ。バレット、作戦前は気が立ってるから）

　ティファがそばにいたから……

それ、どういう意味かしら。

「今回は、わたしも行くね！」

　標的は【五番魔晄炉】だ。まず駅へ行く。詳しい作戦は列車の中でな。おうクラウド、作戦の前にひとつ、おまえさんに訊きたいことがある。じつはな……オレはマテリアの使いかたをよく知らねえ。拾ったマテリアはおまえにくれてやる。だから教えろ！

　さて……面倒だが説明しよう

ケッ、なにが……『それほど難しくはないだろう』だ。全然わかんねえ……。まあいいだろう。マテリアはおまえが管理しとけ！

　面倒臭い……

ソルジャーさんたちの秘密ってわけか。まあいいだろう。あとでジェシーにでも聞いておくからな。だがな、マテリアはおまえが管理しろ。

「クラウド、武器屋二階のおじさんから伝言よ。あげたいものがあるからお店に寄って……だって。忘れないでね。マリン、お店頼むね！」
「うん、お仕事頑張ってね」

　行ってらっしゃい。

　んっおい客！　買わねえと、どんな目に遭うか……想像してみりゃわかるよな。
　てへへ……ひと晩じゃ覚えきれねえぜ。おう素人、悪いが二階の相棒から教わってくれ。

　毎度おなじみ初心者の館だよーん。あんたが素人だってか。その目はそうじゃないって言ってるぜ。
　元ソルジャーをなめるな。どれだけ物知りか教えてやる。しかも無料でだ！　なにが知りたいんだ？

　ポカポカポカポカ……
　たしゅけて〜。
　そこで我慢だ、おまえのリミットゲージは溜まりはじめている！
　びえーん。
　よし、リミットゲージはいっぱいだ。遠慮はいらない。リミット技で勝負だ！　上出来だ。

　まほう、まほう！
　たしゅけて〜。
　落ち着け。相手が魔法を使うときにはマバリアかリフレクで対抗するんだ。マバリアは魔法のダメージを半分にする魔法だ。リフレクは魔法を跳ね返すが、跳ね返す回数に制限があるから気をつけろ。上出来だ。

　さっすがソルジャ！　どうしたら強くなるの〜！
　なるの〜。
　俺みたいに強くなりたければ、マテリアを効率よく育て、最適な組みあわせを探すことだな。装備する武器の種類によってマテリアの成長のスピードは違う。武器や防具にあいている穴の形によって、マテリアの組みあわせは無限に広がる。俺にアドバイスできるのはそのくらいのことだ。もっとも、生まれついた素質がなければ俺のようにはなれんがな。
　わかんな〜い。
　わかんな〜い。
　俺を怒らせるな！　大丈夫だ、まずはやってみろ。そのうち慣れてしまう。

　物知り元ソルジャーさん。バトルのことを俺たち三人組に教えてくださいよ。報酬はずみますから！
　おまえたちから金を取るほど落ちぶれちゃいない。暇つぶしにつきあってやる。なにを教えてほしいんだ？