FF7 MEMORIES

　あーあ、いじめる相手がいなくなっちゃうよ！
　昨日、お店の外から、あなたのこと、街のみんなで覗き見してたのよ。ティファちゃんの幼なじみだなんて、憎い憎い！
　ジョニー悪い女に騙されたりしなけりゃいいけど。それだけが気がかりだなあ。
　俺、男を磨く旅に出っからよ！　これでさよならだぜ！　やい幼なじみ、ティファちゃんを大切にな！

　あんな子でも、いなくなってみるとね。なんだか落ち着かなくて……不思議なものね。

　ハッハッ……息子はもう、旅立ちましたかな？　こうして家内とふたりきりになってみると、いやはや寂しいものですなあ。ハッハッ……若いうちはね、好きなことをやらせてみようと思っていても、やっぱり心配なのはいけませんなあ。親としての修業が足りませんなあ。ところであなた、故郷はおありですかな？

　ニブルヘイムという村だ

ほう、あのニブルヘイム村ですか。ほら、何年か前にニュースになったことがありましたなあ。あのときは確か……魔晄炉の事故でしたか。当時は最初の大きな魔晄炉事故ということで、ずいぶん話題になりましたなあ。

　そんな面倒なものは捨てたさ

ハッハッ……まあ、それもいいでしょうなあ。でも、もしあなたに家族がおありなら、手紙ぐらい書いてあげるのがいいですなあ。故郷はね、知らんぷりをしていても、いつでもあなたを待ってますよ。ハッハッ……まあ、そんなものですなあ。ハッハッ……そろそろ、ふたりきりにしてくれませんか。家内とふたりきりの時間というのをね、しみじみ過ごしたいのですよ。

　はあ……ジョニーのやつ、行っちまった。なんだか急に張りあいなくなっちゃったよ。俺って自分で言うのもなんだけど、酒飲んでないと寂しがり屋さんなわけよ。
　もう、話を聞いてくれる人がいないと情報を集めても仕方ないのよね。そうだ、あなた、興味ない男さん！　今度はきっと、あなたでも興味の湧く、すごーい情報を集めておくから楽しみにしておいて。
　ああ〜、いざとなると勇気が持てない。ダメだな、ぼくって。まだ子どもだな〜。

　フーッ、今日もひまひま……もう、この店もダメかのう……こんなスラムじゃ、まともな薬は売れんなあ。お、こりゃこりゃ！　こりゃ珍しい、あんた、まさか客かね？　はい、いらっしゃい。売りますよ、買いますよ！

　先輩、LOVELESSのチケット取れたんですけど、いっしょに行きませんか？
　やめとけ。ミッドガルが非常警戒体制に入ってる。
　あっ、先輩、僕のこと心配してくれてるんですか！
　そんなんじゃねえ！　テロリストはスラムに潜んでる。俺たちだって気を抜けねえ。
　ああ、アバランチですか？　大丈夫ですよ。なんてったって、ソルジャーが警備に導入されたんですから。

　ソルジャーの出動かあ。久しぶりですね。ねえ先輩、僕、ソルジャーの試験落っこちちゃったんですよ。この話しましたっけ？
　おう、ペラペラペラペラ……少しは黙って仕事できねえのか！
　……しゅん。

　アバランチと先輩、どっちが怖いんだろう？　きっと先輩だな。

　僕、もう、耐えられない。
　いいわ、わたしもよ。
　初めてだね、意見が合ったの。
　ええ……。
　それじゃ……。
　ええ……。
　グゥグゥ……。
　スゥスゥ……。

　おはようございます。一夜明けても相変わらずですね。怪我しないよう、お気をつけて。行ってらっしゃい。

「おう、こいつあ、貸し切り列車じゃねえぞ！　散れ散れ！」
「また危ない人たちといっしょか。私もつくづく運がないな」
「んっ〜！　んんっ〜？　おいっ！　ずいぶんすいてやがるな。どうなってる？」
「ヒッ！　き、きみたちみたいなのがいるから、す、すいてるんじゃないか……ヒ〜〜ッ！　ニュ、ニュースぐらい見てるだろ？　アバランチの爆弾テロ予告があったんだ。こんな日にミッドガルに出かけるのは、仕事熱心な私たちサラリーマン神羅ぐらいさ」
「きっさま、神羅のもんか？」
「わ、私は、暴力には屈しないぞ〜。ここの席だって譲らない」
「バレット！」
「チッ、あんたついてるぜ」

「さて、どうするんだ？」
「ケッ、落ち着いた野郎だぜ。こっちのペースが狂っちまう……」
「列車の接続がすんだみたい。出発するわ」
「今回の作戦について聞かせてくれ」
「ヘッ、仕事熱心だな、クラウドさんよ。仕方ねえ……せ、説明してやるっ！　ジェシーから聞いただろうが、上のプレートとの境界には検問がある。列車ごとIDスキャンするシステムだ」
「神羅自慢のね」
「いままでのニセIDはもう、使えねえ……」
『本日もご乗車ありがとうございます〜。四番街ステーション到着予定時刻はミッドガル時11時45分〜』
「ID検知エリアまであと三分ってところね」
「よし、あと三分経ったら列車から飛び降りる。いいな！」
「クラウド、こっち！　路線図モニタでも見てよ」

　ん……？　俺ん家来て挨拶するのはあんただけ。感心感心。

　ヘッ。元ソルジャーの物知りさんよ。五番魔晄炉のあたりは詳しいんだろ。おまえさんの知ったかぶり説明が聞きてえもんだな！

　ヒッ……！　わ、私には構わないでくれたまえ。（ヒッヒッ、会社のみんなに自慢しちゃおう）

「あら、もう何度も見たって顔してるのね。ま、いいわ。もっとそばに来て」

「おかしいわね。ID検知エリアはもっと先なのに」
『Ａ式非常警戒態勢を発動。列車内に未確認のIDを検知。各車両緊急チェックに入ります。繰り返します。Ａ式非常警戒態勢を発動。列車内に未確認のIDを検知。各車両緊急チェックに入ります』
「どういうこと？」
「どうなってんだ？」
「まっずいことになっちゃったわ。説明はあと。早くこっちの車両に！」
「チッ、しくじりやがったな……」
『車両１に未確認ID検知。ドアロック準備』
「行くぜ！　もたもたすんな！」

　こんなときにも俺に挨拶か？　これまた感心感心。ご褒美にいいものをあげよう。

　失敗
　チッ！　ウスノロッ！　ここまでか……。
　仕方ないね。
　こっから飛び降りるぞ！　オレに続け、ナスボケッ！

　ああ〜、たくさんバトルね。大変よきっと。
　なんてこった……こんな手前で降りる破目になっちまった。しかしいまさら、のこのこ引き返すことはできねえ。このまま進むしかねえ。ビッグス、ウェッジ、ジェシーはうまくやったようだな。さあて、あいつらに追いつくぜ！

『車両１ロック完了。警戒レベル２に移行。車両２に未確認ID検知。ドアロック準備』
　急ぐんだ！
　扉ロックされるっす！
　とにかく走って！　作戦２にチェンジよ！

　やあ……あんたたち騒々しいねえ。まあまあ落ち着いて。
　もう、いい大人がドタドタと。列車の中ではお行儀よくしてね。
　ヒューン！　ヒューン！
　ひょっとしてこれ、ぼくら大ピンチってやつかい？

　あ〜ん？　なっん〜だっ！　欲しいのか？

　ああ……

ホウ。無料奉仕にしとくぜ。あ〜ん？　癖になるから気をつけな。

　間違いだ

あーん？　必要になったら言っとくれ。

　失敗
　チッ！　もう、おしまいかよ。
　ぜんぜんっダメね！
　こっから飛び降りるぞ！　オレに続け、高給取り！

　ふうっ〜、しっかりしてね！

『車両２ロック完了。警戒レベル３に移行』
　よし抜けたか？
　まだよ。すぐ次の検知が始まるわ。ばれたらアウトよ！　でも心配しないで。前の車両に順々に移っていけば、やりすごせるわ！
『未確認IDは列車前半部に移動中。現在位置の再確認に入ります』

　ヒヒヒ……に、逃げ場がない……もしかして……ばれてます？

　ん……？

ほんじゃまっ、そういうことで。

　そうだ

すいましぇーん。返しまーしゅ。

　さらば、グッバイ、アディオス、ミッドガル！　ぐっすん……。

『車両３ロック完了。警戒レベル４に移行』

　ブルブルブル。ひどいんです。いまどき、追い剥ぎって身ぐるみ剥ぐんですから。
　わかりますっ？　目が覚めたら素っ裸で男三人だった気分！　わかんないでしょうねえ。
　怖い年上の女性が私に爆弾を突きつけて……断われませんでした。ハイ。

　失敗
　チッ！　ここまでか……。
　もう少しだったのに。
　こっから飛び降りるぞ！　オレに続け！

　どんまい、どんまい。
　やばかったぜ。神羅のやつらに見つかるかと思った……まだオレたちが潜入したことはばれていないはずだ。五番魔晄炉まで一気に行けるぞ！

『車両４ロック完了。警戒レベルMAXに移行』
　よしっ、うまくいったな！　おう、こっちだ、行くぜ！　こっからダイブだ！

　わかるっすか？　俺、ウェッジっす。作戦ばっちり成功っすね。関係ないけど、この格好……俺の弟にそっくりなんすよ。いまごろどうしてるかなあ。

　わたし、ジェシーよ。どう、クラウド？　神羅の制服、似合ってるかな？
　そうだな……。

　……素敵だよ、男勝りで

えっ、嬉しいっ……のかしら？

　いまはそれどころじゃない。いまは作戦に集中しろ

ごめん、そうよね。

　……怖いね。
　いまさらなんだよ。だいたい、どうして来たんだ？
　だって……。
　おふたりさん、時間がないぞ！　おう、時間がねえ！……なんとかしてやれ！
　うん、決めた！　よっく見てて。わたし飛ぶから！
　先に行くが、構わないな？
　リーダーは最後まで残るもんだ。いいから早く行け！　おう、怪我すんなよ！　作戦はこっからが本番だぞ！　じゃな！　後始末は頼んだっ！