FF7 MEMORIES

「いたぞ、あそこだ！」
「クラウド、あれ！」
「わかっている。どうやら見逃すつもりはないようだな」
「どうしよう？」
「捕まるわけにはいかないんだろ？　それなら答えはひとつさ。さあ、エアリス。こっちだ。大丈夫だ。俺が受け止めてやる」
「わかったわ。しっかり受け止めてね」
「古代種が逃げるぞ！　撃て、撃て！　あ、撃つな！」
「きゃあっ！」
「エアリス！」
「やっちまったかな、と。抵抗するからだぞ、と」

「クラウド、助けて！」
「くそっ！　あれは……？　エアリス！（しばらく待っていろ／戦え！／逃げるんだ！）」

　わ、わかったわ。
　古代種！　捕まえたぞ！
　ふう、驚いた。

　タルがある。これを押してやれば……。
　ぐわっ！
　ぶべっ！
　のわっ！
　ありがとう、クラウド。［失敗：　もう、クラウド、なにやってるのよ！］

「エアリス、こっちだ」

「ふふふ……まだ捜してるね」
「初めてじゃないな？　やつらが襲ってきたのは？」
「……まあ、ね」
「タークスだよ、あいつらは」
「ふーん……」
「タークスは神羅の組織。ソルジャーの人材を見つけ出しスカウトするのが役目だ」
「こんなに乱暴なやりかたで？　まるで人攫いみたい」
「それに、裏じゃ汚いことをやっている。スパイ、殺し屋……いろいろだ」
「そんな顔してるね」
「でも、どうしてあんたが狙われる？　なにかわけがあるんだろ？」
「うーん……べつに。あ、わたし、ソルジャーの素質があるのかも！」
「そうかもな。なりたいのか？」
「どうかなー。でも、あんなやつらに捕まるのはいや！」
「それじゃあ行くぞ！」

「待って……ちょっと待ってってば！　ハア……ハア……ひとりで……先に……行っちゃうんだもん……」
「おかしいな……ソルジャーの素質があるんじゃなかったか？」
「もう、意地悪！　ねえ……クラウド、あなた、もしかして……ソルジャー？」
「……元ソルジャーだ。どうしてわかった？」
「……あなたの眼。その不思議な輝き……」
「そう、これは魔晄を浴びた者……ソルジャーの証。だがどうして、あんたがそれを？」
「……ちょっと、ね」
「ちょっと……？」
「そ、ちょっと！　さ、行きましょ！　ボディーガードさん！」

「ふー、やっとおりられた！　さて、と……こっちよ、わたしの家は。あの人たちが来ないうちに急ぎましょ」

　ヒーちゃんたちねえ、ここのお花ねえ、お世話してんの……ダメ？

　全然構わない

　大切にな。

　ダメ！

　子どもには無理だな。
　ムリ？　ムリってなーに？　わかんなーい。

　あーあ……退屈だぜ。また六番街スラムの例の店に行ってみっかな……。
　ん〜？　このへんじゃ見ねえ顔だな、シッシッ！　この壁のむこうは六番街スラム、おめえみてえなよそもんにゃあ、もったいないパラダイスよ。

　変なんだよね。この土管の中の人。なにを訊いても『ああ』とか『うう』しか言わないんだよね。

　ここの人、病気みたいなの。近くで倒れていたのを誰かが助けたんだって。
　う……あ……あぁ……。
　この人なの……ね、助けてあげられない？
　う……あ……あぁ……。
　悪いが、俺は医者じゃない。
　そう……そうよね……あら？　この人、刺青してる。数字の２、かな。

　ウォールマーケットって知ってっかい？

　はい

へえ、そうかい。なら、そのうち俺の買いものも頼もうか……。

六番街スラムにあるマーケットさ。あそこに行けばなんでもそろうんだけど、途中の道がね……。

　どいたどいた！　欲しいものがあったら店の中へどうぞ！
　なにをしてるかって？　下を向いて歩いてるのよ。下にはいろいろ落ちてるけど、上を見たってなにも落ちてきやしないもの。でしょ？

　スクラップだろうがマテリアだろうが、このスラムで手に入らないものはない！　いいマテリアがそろってるぜ、見てってくんな！
　オットット！　人んちのフリーザーを勝手にあけるなって、おっかさんに言われなかったかい？

　……ジロジロ……フン、アイテムは金と引き換えだよ。

　自分の身は自分で守る。これがスラムの常識よ！　そのためにはまず強え武器！　だろ？
　ん？　武器が欲しいのか？　なら残念だな……おまえらに売る武器はない！　なぜなら……店はあっち、向こうだからな。
　ブッブー！　次はミッドガル、ミッドガルです。お降りのお客さまはブザーを鳴らしてくださーい。ミッドガルってさあ、キラキラでグイーングイーンでシャキーンシャキーンなんだって。いいなあ、行ってみたいなあ。

『ＴＶ：　ニュースをお伝えします。テロリストグループ【アバランチ】の破壊工作により、一部供給が中断していたミッドガルの電力はまもなく回復する予定です。プレジデント神羅に続き、ミッドガルのドミノ市長も【アバランチ】に対する非難声明を出しています……』
　ケッ……プレジデント神羅の言うことなんてみんな嘘っぱちさ。だがな、アバランチだかアバンチュールだか知らねえが、あいつらも信用ならねえ。あれこれ言ってても、結局、上の連中が羨ましいだけなのさ。なら誰を信じるか？　決まってんじゃねえか。俺だよ、俺。俺は俺に嘘をつかねえからな。俺は俺の言うことしか信じねえ。俺は俺に嘘をつかねえからな。

　グーグー……これで……誰にも……見つからムニャムニャ……一番上と二番めの……。

　一番めの棚をあける

　からっぽ、か……。

　二番めの棚をあける

　からっぽ、か……。

　棚のあいだの隠し棚をあける

　……？　５ギル、か……（盗む／そのままにする）

『かめ道楽通信ナンバー１：　おいしいお酒で素敵なひととき……ぜひ一度、居酒屋【かめ道楽】へ！』

「ただいま、お母さん。この人、クラウド。わたしのボディーガードよ」
「ボディーガードって……おまえ、また狙われたのかい？　身体は？　怪我はないのかい？」
「大丈夫。今日はクラウドがいてくれたし」
「ありがとうね、クラウドさん」
「ねえ、これからどうするの？」
「……七番街は遠いのか？　テイファの店に行きたいんだ」
「ティファって……女の人？」
「ああ」
「彼女？」

　彼女？

　そんなんじゃない！

　ふふふ、そーんなに、むきにならなくてもいいと思うけど。

　そんなところだ

　ふーん、いいねえ。

「でも、まあいいわ。七番街だったわね。わたしが案内してあげる」
「冗談じゃない。また危ない目に遭ったらどうするんだ？」
「慣れてるわ」
「慣れてる？……まあ、そうだとしても、女の力を借りるなんて……」
「女！　女の力なんて？　そういう言いかたされて黙ってるわけにはいかないわね。お母さん、わたし、七番街までクラウドを送っていくから」
「やれやれ。言い出したら聞かないからね。でも明日にしたらどうだい？　今日はもう、遅くなってきたし」
「うん、わかった、お母さん」
「エアリス、ベッドの準備をしておくれ」

　あんたのその目の輝きは……ソルジャーなんだろ？
　ああ、しかし昔の話だ……。
　……言いにくいんだけど……今夜のうちに出ていってくれないかい？　エアリスには内緒でさ。ソルジャーなんて……またエアリスが悲しい思いをすることになる……。

「七番街へは六番街を抜けていくの。六番街、ちょっと危険なところだから、今夜はゆっくり休んでね、クラウド。おやすみ」
「まいったな……」
『……かなり、あれだな。疲れてるみたいだぞ』
「……？」
『こんなきちんとしたベッド……久しぶりだ』
「……ああ、そうだな」
『あれ以来、かな』

「本当に立派になってえ。そんなんじゃ、あれだね。女の子もほっとかないだろ？」
「……べつに」
「……心配なんだよ。都会にはいろいろ誘惑が多いんだろ？　ちゃんとした彼女がいれば、母さん、少しは安心できるってもんだ」
「……俺は大丈夫だよ」
「あんたにはねえ……ちょっとお姉さんで、あんたをぐいぐいひっぱっていく、そんな女の子がぴったりだと思うんだけどね」
「……興味ないな」

「……いつのまにか眠ってしまったのか。六番街を越えて七番街へ、か。ひとりでなんとかなりそうだな」

　もう、またタークス来たのかと思ったじゃない！　おとなしく休んで！
　次は見つからないように……。