FF7 MEMORIES

　風が……止んだ……よみがえりし魔王の呪いか……我が最愛の女王は目醒めぬ……時は満ちた……古代より彼の地に伝わる伝説……
　ひそひそ……（おい、そろそろ止めないとまずいんじゃないのかい？）
　ひそひそ……（プレジデント神羅と会食の約束だろ……）
　ひそひそ……（おまえ言えよ……）
　ひそひそ……（言えるわけないだろ……）
　ひそひそ……（チェッ！　ま、いいか……）
　……古代より彼の地に伝わる伝説……求めるは約束の地……青き瞳を持つ者……白刃の大剣を背に……約束の地へ導かん……
　ひそひそ……（まったく、うちの社長にも呆れるよ）
　ひそひそ……（ミッドガルに出張のときには毎度だぜ。ゴールドソーサーからはるばる来てよ……）
　ひそひそ……（おまえはまだいいよ。照明係なんだから。俺なんて、この鎧！　スゲエ重いんだぞう）
　ひそひそ……（ハイハイ……これも仕事ですから）
　ひそひそ……（そういや、聞いたかい？　社長の王さま道楽が奥さんにばれたって話）
　ひそひそ……（クックッ……ウソ、それ初耳）
　ひそひそ……（あ、終わったみたいだぞ。ああー、助かった！）
　ゲッ、社長！　じゃなかった王さま……！
　うわー、すいましぇーん。
　古代の呪いは許してえ〜。

　ひそひそ……（おいおい、またかよ！）
　ひそひそ……（もう、これで何回めだ？）
　ひそひそ……（知らねえよ……はぁ、王さま、すぐ調子に乗るからなあ）

　はぁ……ふぅ……。
　じいさん、なんです？　溜息ばっかりついて……。
　ハァ……そやかてなあ、ばあさん……。
　またこの部屋のことですか。
　はぁ……なんぼ、息子が借りてくれたゆうてもなあ……わしらにこんな立派な部屋はなあ。丸い布団にカクカク風呂。わし、どうも落ち着かんのやわ。
　ええんとちゃいますか。ここらは大都会の下、高級地なんですよ。罰が当たるちゅうもんですよ。
　はぁ……。

　はぁ……ふぅ……なあ、ばあさん、息子の勤める会社、なんつうたかいのう……。
　まあ、じいさん、また忘れてしもて……。
　はぁ……最近、どうもなあ……。
　神羅会社ですよ。神羅会社。大都会でいちばん大きな会社ですわ。
　はぁ、いちばん大きいつうたら、立派なもんやな。
　ほんまに立派なもんですわ。なんやようさん出世して、いまじゃ部長さんやゆうてましたわ。
　ほう……わしらがこんな部屋住めんのも、息子がえろうなったからやのう。ありがたいこっちゃで。
　ほんま、ありがたいことですなあ。

　ほんな、もう寝よか……。
　そうしますか。
　おやすみなさい。
　はい、おやすみなさい。

　グーグー……。
　スヤスヤ……。

　さっ、お客さんｖ。こっち、こっちｖ　さ、始めましょｖ。お客さんｖ　この部屋を選んだってことはぁ……寂しがり屋さんなんだ？

　孤独には慣れている

　俺はいつだってひとりさ。

　ムダ口はやめてくれ

　話したくないんだ。

　はいはいｖ（……ムッツリさんｖ）。さ、みなさん、お待ちかねですから。

　みなさん……？
　なにしてるんだ、俺は？

　ほら、来た来たｖ　はい、みなさーんｖ
　わっせ、わっせ、わっせ、わっせ、わっせ、わっせ、わっせ、わっせ！　チィーッス！
　ウース！　（にこにこにこにこ……）
　まいったな……どうするか……？

　俺は帰らせてもらうよ

　おまえたちにつきあってる暇などない。道をあけてもらおうか！

　身の危険を感じるな……

　どうやら、俺は絶体絶命の危機に陥っているようだな……。

　ハァハァ……照れちゃダメだ！　照れちゃ！　堅いこと言いっこなしだ、坊主。ハァハァ……ともに青春の垢と汗を流そうではないか！
　ウィーッス！
　坊主！　着痩せするタイプだな。ハァハァ……立派なもんだ！　ハァ……ビバビバ……風呂はいいなあ。心が安らぐなあ。どうだ、坊主！　気持ちいいだろ？

　………。気分が悪い。出してくれ……
　苦しいな。暑苦しいだけだ……

　我慢、我慢。十数えるまでダメだ。
　10……９……。
　坊主、年はいくつだ？
　８……21だ……。
　僕の半分もいってないわけだ。いいねえ。どうだい？　坊主、ムッキーの青春サークルに入らないかい？

　興味ないね

　７……６……興味ないね。

　………

　７……６……悪いが、ほかを当たってくれ。

　そうかい、残念だなあ。これから太陽の降りそそぐ国での合宿もあるんだけど。
　５……４……３……２……１……さ、約束の時間だ。
　少しは遊んでくれてもいいんじゃない？……おじさん、寂しいよ……。

　坊主！　これ、僕の大事なもの。今日の記念に坊主にあげよう。また会えるといいね！（ビキニパンツ）
　すごいパンツだな……これを俺が穿くのか……仕方がない。ティファを助けるためだからな。

　ん……？　あんたなのか……？　こんなところで、なにしてる？
『そっちこそ、こんなとこで遊んでていいのかい？　いつでも頭抱えていれば問題が解決すると思ってる？』

　やだ！ｖ　お客さーんｖ　たいへーん！　誰か〜、誰か来て〜ｖ
『遠くから眺めてるだけじゃ、なにも変わらないって気づいたんだろ』
　なに言ってる？
『動きはじめたみたいだよ』
　なにが？
『ほら、目を覚まして！』
（モミモミモミミ……モミモミモミ……タントントン……タントントントン……ツンツン……チクッンｖ）
　うっ……いてっ！
　目を覚まして！　ふぅ〜ｖ　よかったぁｖ　坊主っ！　倒れちゃったんだって？　ダメだ、ダメだ、緊張しちゃいかんなあ。（ああ……？／うう……？）んっ……？　まっ、青春は長くて短し。次、頑張んなさい。もう時間だっｖ　じゃねｖ

　こんなことで落ちこんじゃいけないぞ。おじさんなんか、しょっちゅうなんだから。

　ごめんなさいね……ｖ　いろいろと大人の事情ってもんがあるのよｖ　これ、お詫びの印ｖ　大切に扱ってね。（ランジェリー）
　こんな布キレを、俺が？　まったく、どうかしてるな。

　……女装するとなれば……入念な準備が必要だ。ここならお化粧できそうだ。（化粧してもらう／やめておこう）頼みがあるんだ。俺に化粧してくれないか？
　ぬりぬりぬりぬり……プッ……。

　あっ、お客さん！　もうすぐ閉店なんで……忘れものなどなさらぬよう気をつけてくださいよ。
　く〜〜、僕もお花欲しい〜！　でもでも、可愛い女の子の前だと緊張しちゃって……なんだか自然と警戒しちゃうんです〜。
　エアリスちゃん、デートに誘ったらさ。100万ギル積まれてもいやだって。お花は300ギルもするし……意外と商売上手だぜ、ありゃ。
　エアリスちゃんからきれいなお花もらっちゃいましたよ。500ギル、ちょっと高いかな。名前聞けたから、まあ許しますか。
　エアリスちゃん〜、お花、１ギルありがとう。俺、大切にすっから！　押し花にしてお守りにすんだ。

　く〜っ！　今日もここまでか……。
　もう閉店なんですよ。ふあぁ〜、眠いです、ハイ。
　お客さんいいんですか？　ほら、エアリスちゃん、寂しそうじゃないの。