FF7 MEMORIES

　うまくいったようですね。帰ってきてからずっとドレスを作ってましたよ。

「よう来たな。できとるよ。さっそく着てみなさい」

「これ……どうやって着るんだ？　わ！　なにをするんだ！」
「やっぱり、ちょっと変。カツラ、必要だね」
「うむうむ。そうだろうと思って知りあいに話をしておいたんじゃ。男男男という看板を出しとるジムがあるじゃろ？　そこにあんたと同じ趣味の人がいるんじゃ。彼に相談してみるとよいじゃろう」
「……同じ趣味？　エアリス、親父さんにどんな説明をしたんだ？」
「いいじゃない、なんでも。ドレス、きれいだしね！」

　どうじゃ？　会えたかな？
　カツラは手に入りましたか？

「あなたね？　可愛くなりたいのは」
「可愛く？」
「そうなの。それで、カツラなんだけど……」
「ええ、聞いてるわよ。でも、タダってわけにはねえ」
「うおー、兄貴！　可愛い格好は兄貴を極めた者のみができるんですぜ！」
「そういうことじゃー！」
「ということで、わしらと勝負じゃー！」
「そうね、こいつらとスクワットで勝負しましょう」
「ようがす！　わしらがコテンパンにしてさしあげますぜ！」
「もしかして、あんたは」
「きれいなお兄さん？」
「いまごろ、なに言っとるんじゃい。兄貴は、兄貴は、それはもう……」
「あんた、いいから、こっちへ来なさいよ」

　じゃあ、ルールを説明するわね。構えから□ボタンでしゃがむ。しゃがみから×ボタンで立つ。立ちから○ボタンで構えへ。□ボタン、×ボタン、○ボタンと順番に押すのよ。わかった？

　わからない

　じゃあ、もう一度説明するわよ。

　わかった

　30秒でこなした回数がこいつより上だったら、このカツラをあげるわ。
　絶対負けないっすよ。兄貴のカツラはわしらのもんじゃー！
　やかましいわね、こいつ。ぶっつけ本番ってのも可哀想だから、練習する？

　軽く練習でもする

じゃ、練習始め！
今ので○○回ね。じゃあ本番やるわよ。本番始め！

　練習など必要ない

じゃ、本番始め！

　勝利
　あんたすごいわねえ。約束どおり、これをあげるわ。（ブロンドのかつら）
　兄貴ー、悔しいっすよー。むちゃくちゃ悔しいっすよー！
　やかましー！　負けたくせにめそめそすんじゃねー！

　引き分け
　あなた、よく頑張ったわね。あたしのお古をあげるわね。（チャパツのかつら）
　あ、兄貴、それ、それはあっしがもらえるはず……。
　やかましい！　素人さんと引き分けといて生意気言ってんじゃねえ！

　敗北
　服屋の親父の頼みだから渡さないわけにはいかないから……あれ、どこへしまったかしら？
　仕方あるまい。
　こん、ボケ！　なんてとこに隠してやがんだ！
　うう……兄貴の鉄拳は骨の髄まで痺れやすぜ……。
　ごめんね、ちょっとなんだけど、消毒すれば使えるから。（クセゲのかつら）

　大事に使ってね。

　兄貴ー、しっかりしてくだせー。

　そろったようじゃの。早く着て見せてくれ。

　手に入ったようですね。さっそく着替えてみてくださいよ。

「着替えるの？（覚悟を決めた／いまは着替えない）」
「ほう、これはなかなか、どうして。新しい商売になるかもしれんぞ」
「そうだね。やってみようか。あんたたち、面白いもの見せてもらったよ。親父もやる気出してくれたし、そのドレスの代金はサービスしとくよ」
「おしとやかに歩いてね。クラウドちゃん」
「……なにがおしとやかにだ」
「クラウドちゃん、可愛い。でも、いいな、それ。ね、わたしに似合うドレス、なーい？」
「これはどうでしょう？」
「いやいや、こっちのほうがいいぞ」
「親父、なに言ってんだよ。これがいいって」
「なにを言っとる、こっちじゃよ」
「あ、わたし、これがいい」
「え？」
「え？」
「ちょっと着替えてくるね。……覗いちゃだめよ。どう？　似合ってる？」

「もう、可愛くないなあ！」

　うんうん、似合っとる、似合っとる。
　……なんだか、すごいもんですね。
　あなたって、ヘン。

　なんじゃ？　お嬢さんがたも食べるか？
　おっ！　そこの別嬪さん、いい仕事紹介するぜ。ドンのとこへ行ってみな。たんまり稼げるぜ。

　どうしたんだ、エアリス？
　……どうした？　あなた、そのまま外、出るの？　わたし、構わないけど。
　……そうだった。
　しっかり、ね？　素敵なクラウド！

　すいませーん、いま満席なんです。また来てください。

　ヒュー！　お嬢さんだぜ！
　おっかしいなあ、そのバリバリにツンツンヘアー、見覚えあるんだけどなあ。
　ほんっと、もう、きれいな子にしか声かけてないんだから。ん〜、きみがいちばん最高なんだなっあ。
　お、若いおなごにピチピチお肌。うーん、目が醒めましたよ！……ん？　硬いねえ、鍛えてるの？
　え……えっと、お、俺……あ……あの……ジョ、ジョニーっていいます……よろしく。

　お客さま、キッチンへは入らないでください！

　あら、けっこうイケてるじゃないの。（→クラウドが選ばれる）
　へえ、まあまあね。（→エアリスが選ばれる）
　うーん、もうちょっとね。（→ティファが選ばれる）

「おおっ！　お友達もこれまた可愛い子ちゃん！　ささ、中へ、中へ！　二名さま、お入りー！」
「おーい、お姉ちゃんたち。いまドンに知らせてくるからさ。ここで待っててくんな。うろうろしないでくれよ」
「いまのうち、捜しましょ、ティファさん」

　ティファさん、どこにいるのかな……。

「……ティファ、さん？　初めまして、わたし、エアリス。あなたのことはクラウドから聞いてるわ」
「……あなたは？　あっ、公園にいた人？　クラウドといっしょに」
「そ、クラウドといっしょに」
「そう……」
「安心して。少し前に知りあったばかりよ。なんでもないの」
「安心って……なにを安心するの？　ああ、勘違いしないで。わたしとクラウドは単なる幼なじみよ。なんでもないの」
「ふたりして『なんでもない』なーんて言ってると、クラウド、ちょっと可哀想。ね、クラウド？」
「クラウド？」

　なーに照れてるの？　ダメ、ちゃんと話さないと！

「クラウド!?　その格好はどうしたの？　ここでなにしてるの？　あ、それよりあれからどうしたの？　身体は大丈夫？」
「そんなにいっぺんに質問するな。この格好は……ここに入るために仕方なかった。身体は大丈夫だ。エアリスに助けてもらった」
「そうなの、エアリスさんが……」
「ティファ、説明してくれ。こんなところでなにをしているんだ」
「え、ええ……」
「オホン！　わたし、耳、塞いでるね」

　さあ、どうぞ、秘密のお話。

　ねえ、秘密のお話は？

「……とにかく無事でよかったわ」
「ああ。で、なにがあったんだ？」
「五番魔晄炉から戻ったら怪しい男がうろついていたのよ。その男をバレットが捕まえてキューッと絞めて話を聞き出したの」
「ここのドンの名前が出たわけか」
「そう、ドン・コルネオ。バレットはコルネオなんて小悪党だから放っておけって言うんだけど……なんだか気になって仕方がないのよ」
「わかったよ。コルネオ自身から話を聞こうってわけだな」
「それでなんとかここまで来たんだけど、ちょっと困ってるの。コルネオは自分のお嫁さんを探してるらしいの。毎日三人の女の子の中からひとりを選んで……あの……その。とにかく！　そのひとりにわたしが選ばれなければ……今夜はアウトなのよ」
「あの……聞こえちゃったんだけど。三人の女の子が全員、あなたの仲間だったら問題なし、じゃないかな？」
「それはそうだけど……」
「ここにふたりいるわよ」
「だめだ、エアリス！　あんたを巻きこむわけにはいかない」
「あら？　ティファさんなら危険な目に遭ってもいいの？」
「いや、ティファは……」
「いいの？」
「わたし、スラム育ちだから、危険なこと慣れてるの。あなたこそ、わたし信じてくれる？」
「ありがとう、エアリスさん」
「エアリス、でいいわよ」
「おーい、お姉ちゃんたち、時間だよ。コルネオさまがお待ちかねだ！　うろうろするなって言ったのに……これだから近ごろのお姉ちゃんたちは……早くしてくれよ！」
「聞くまでもないと思うけど、あとのひとりはやっぱり……俺……なんだろうな？」
「聞くまでも」
「ないわね」

　フフフ……その格好、よく見るとなかなかじゃない。バレットが見たらなんて言うかな……。
　早く行かないと怪しまれない？
　ドンがこの部屋でお待ちかねだよ、へへへ……。