FF7 MEMORIES

「大丈夫か？」
「もう！　サイテーね、これ」
「うん。ま、最悪の事態からは逃れられた……でもないみたい」

「もうだめだわ……マリン……バレット……スラムの人たち」
「諦めない、諦めない。柱、壊すなんてそんなに簡単じゃない、でしょ？」
「……そうね……そうよね！　まだ時間はあるわよね」

「エアリス、すっかり巻きこんでしまって……」
「ここから帰れ！　なーんて言わないでね」
「えーと……明かりの点いている車両を抜けていけば出られそうね」

　プレートが落ちるって噂を聞きましたです。長年親しんだこの駅ですから、どうしても離れられません……いったいどうして……？　嘘であってほしいです。

「間に合った！　柱が立ってる！」
「待て！　上から……聞こえないか？」
「……銃声？」

「大丈夫か？……ウェッジ！」
「……クラウドさん……俺の名前……憶えてくれたっすね。バレットさんが……上で戦ってるっす。手を貸してやって……クラウドさん……迷惑かけて、すいません……っす」
「のぼるぞ！　エアリス！　ウェッジを頼む」
「エアリス、お願い。この近くにわたしたちの店セブンスヘブンがあるの。そこにマリンっていう名前の小さな女の子がいるから……」
「わかった、安全な場所へ、ね」
「ここは危険です！　みんな早く柱から離れて！　七番街から離れて！」

　クラウド、早くしなきゃ、バレットが……。
　大丈夫、ここは任せて。

　あ、あの……これが僕の仕事だから……ぎりぎりまでここにいないとならないんだ。
　うん、責任感の強いあなた、好きよ。わたし、そばについてるから。

　オロオロ……柱、壊れちゃうんですか……怖いんですけど、あんたたちのためにね。ほんとにやばくなったら逃げ出しますから……滅多に見れるもんじゃないですし。
　ううっ、守ってくれよ、俺の素敵で不思議な場所。
　おう！　これが俺の最後の仕事だ！　のぼってけ！　こんなことになるなんてな！　いい気分じゃねえ！　明日辞表だ！

　ああ、アバランチの人たち、大丈夫かな？
　うん……あなた、慄えてるのね？　優しい人……好きよ。

　クラウド……やっぱり……星の命なんて……どうなろうと……興味ないか？

　悪いけど興味ない

へ……変わんねえな。まあ……いいや。

　それより怪我が……

　ありがとよ、クラウド。でも……俺はいいから……バレットが……上で戦っている。手を貸してやってくれ……。

　あ……クラウド……最後に……話せてよかった……。

　最後だなんて……

　もう、いい……いいの……わたしたち……わたしたちの作戦でたくさん……人、死んじゃったし……きっと……その報い……ね。

　そうか……

　……そうか……ですって……？　フフ……相変わらず……クールな……元ソルジャーさん……そこが……いいんだけどね……。

「ティファ！　クラウド！　来てくれたのか！　気をつけろ！　やつら、ヘリで襲ってきやがる」
「本格的に来る前に装備を整えておいたほうがいいわ！　さっそく来たわ！」
「遅かった、と。このスイッチを押すと……はい、おしまい！　作業終了」
「解除しなくちゃ！　クラウド！　バレット！　お願い！」
「そういうわけにはいかないぞ、と。タークスのレノさまの邪魔は誰にもさせないぞっ……と」

「クラウド！　止めかたがわからないの。やってみて！」

　くっ！　時限爆弾か！
　上のプレートが落ちてきたらひとたまりもないわ。急がなくちゃ！

「……ただの時限爆弾じゃない」
「そのとおり。それを操作するのは難しい。どこかの馬鹿者が勝手に触れると困るからな」
「お願い、止めて！」
「クックックッ……緊急用プレート開放システムの設定と解除は神羅役員会の決定なしではできないのだ」
「ゴチャゴチャうるせえ！」
「そんなことをされると、大切なゲストが怪我するじゃないか」
「エアリス！」
「おや、知りあいなのか？　最後に会えてよかったな。私に感謝してくれ」
「エアリスをどうする気だ」
「さあな。我々タークスに与えられた命令は【古代種】の生き残りを捕まえろ、ということだけだ。ずいぶん長い時間がかかったが、やっとプレジデントに報告できる」
「ティファ、大丈夫だから！　あの子、大丈夫だから！」
「エアリス！」
「だから早く逃げて！」
「クックックッ！　そろそろ始まるぞ。逃げきれるかな？」

「おい、このワイヤーを使って脱出できるぜ！」

「マリン、マリン、マリーン！　ビッグス、ウェッジ、ジェシー！　こんちくしょう、こんちくしょう、こんちくしょー！　なんだ、こんなもの！　うおおおー！」
「おい、バレット！」
「バレット！」
「うおおおおー！」
「おい！」
「バレット、もうやめて……お願い、バレット」
「うわあああー！　クッ、ちくしょう……」

「マリン……」
「……ねえ、バレット……。マリンは、マリンは大丈夫だと思うの」
「……え？」
「エアリスが言ってたわ。『あの子、大丈夫だから』って、マリンのことよ。きっと」
「ほ、本当か？」
「でも……」
「ビッグス……ウェッジ……ジェシー……」
「……あの三人は柱のなかにいた」
「わかってる……でもよ、でもよ！　いっしょに戦ってきた仲間だ！　死んじまったなんて……思いたくねえ！」
「……七番街の人たちも」
「ああ、ひどいもんだぜ。オレたちを斃すために街ひとつ潰しちまうんだからな。いったい何人死んだんだ……」
「……わたしたちのせい？　アバランチがいたから？　関係ない人たちまで……」
「違う！　違うぜ！　ティファ！　なにもかも神羅のやつらがやったことじゃねえか！　自分たちの金や権力のために星の命を吸い取る悪党ども！　その神羅を潰さない限り、この星は死んじまうんだ！　神羅を斃すまでオレたちの戦いは終わらねえ！」
「……わからない」
「オレが言ってること、わからねえのか？」
「違う……わからないのは自分の……気持ち」
「おまえはどうなんだ？」
「………」

「おい！　あいつ、どこへ？」
「あっ！　エアリスのこと！」
「ああ、あの姉ちゃんか。何者なんだ？」
「……わたしもよく知らない。でも、マリンのことをエアリスに頼んだの」
「そうだ！　マリン！　ティファ、もう、後戻りはできねえんだ」

「クラウド！」
「マリンのところへ連れてってくれ！」
「エアリスを助けに行くのね？」
「ああ……でも、その前に確かめたいことがあるんだ」
「なに？」
「……古代種」
『我こそ古代種の血を引きし者。この星の正当なる後継者！』
「セフィロス……？」
「大丈夫？」
「しっかりしてくれよ！」

　あんな大きな音がしたってのに、ここの人、相変わらずなんだよね。よっぽどつらいことでもあったみたいなんだよね……。
　グスッグスッ……ゴゴゴゴ……ってなったら、バリバリバリっときて、ドドドドドーン！　って……怖かったよ……グスッ。

　ミッドガルの下にいりゃ、そこそこの暮らしができると思ってたのに、まさかなあ。でっかいやつが落ちてくるとは……。
　そう、それよ！　けどよ、だからといって、いまさらどこに行きゃ……。

　あんなものが落ちてくるなんて……これからは上を向いて歩いていこうっと……。

　こんなとこに住んでたら命がいくつあっても足りないぜ！　さ、マテリア買ってくれ、マテリア！　金を作って、ここから逃げ出すんだ！

　……ジロジロ……フン、金さえ出しゃ、アイテムはやるよ。なにがあろうとね……。

『ＴＶ：　……事故の続報です。ミッドガル建設以来最悪の事故にもかかわらず、神羅カンパニー都市管理スタッフの素早い対応により、ミッドガル市民に犠牲者はないもようです。事故の原因はなお不明ですが、関係者によると、カンパニーに対する破壊活動で手配されているテロ組織アバランチによる犯行声明が出されたとの情報もあり、現在その……』
　なんてこったい……アバランチだかＢランチだか知らねえが……プレートごと落っことすなんてどうかしてるぜ！

　へへーん！　こつこつ溜めたへそくりでアイテムを仕入れたんだ。ウォールマーケットですげえディーラーになるのがおれの夢なんだぜ！　今日は気分がいいから、特別にこれ、やるよ！

　なにが起こるかわからねえ！　こんな世の中だからこそ、やっぱり頼りになるのは強え武器だろ？
　……外が騒がしいな。なにかあったのか？