FF7 MEMORIES

　ビジターのかたでございますね。空いているマシンはご自由にご利用ください。
　フンッ、フンッ……このビルの警備を預かる身として、体力には気を使っているんだ。
　ハーハー、お腹のあたりが気になり出して……。
　フーフー、疲れたら隣の部屋で休むといいわよ。

　………。

　やってみようか？

フゥ……。

　そろそやめよう
　もう少し続けよう

フゥ……。

　そろそろやめよう
　もう少し続けよう

ほんの少し身が軽くなったような……気がするな。

　ばかばかしい

『自動販売機：　体力回復にこの一本！【神羅ジム特製ドリンク】250ギルにて発売中！』

　買ってみるか

　……なにも出てこないな。……壊れているのか？

　ガンガン叩く

　ちょっと、なにするんですか！　乱暴はやめてください！

　諦めよう

　やめておこう

　メガホン？　こんなもの持っていってもしょうがないな。

　グーゴー……頼む……から、ゆっくり寝かせてくれ……。

「ミッドガル……魔晄エネルギーを吸い出し生きつづける都市の模型か……。模型が欠けている……。（ミッドガルパーツを嵌めよう／放っておく）……なにかがあいたような音がしたな」

　ミッドガル……魔晄エネルギーを吸い出し、生きつづける都市の模型か……この建設中の六番街が完成したとき、神羅の野望も完全なものとなる。その野望のためにエアリスを……？

　はあ〜、もうファイル運びはうんざり……でも、いろんな男の人の出会いがある。それがOLの特権ね！　お疲れさまー！
（この人いいんだけど、彼女いるし……でも、なんかトキメキ！）
（汗くっさ〜、ダメ、パス）
（ずいぶん神経質そう。男の潔癖症っていうのも考えものね）
（仕事ひとすじ。うーん……）

　なんかこう、生き甲斐ってものを感じるよな。世界をこの手で動かしているっていう、この感じ。
　さあ、わたしたちで魔晄の未来を創るのよ！

　また重役会議だってよ。こないだのプレート落としの一件じゃないのかな。
　関係ないけどよ、トイレに入ってるとき、どこからか声が聞こえてこないか？　ひそひそ……っと。
　関係ないけどよ、あの会議室って、なんか臭くないか？　どこかから臭ってくるんだよな。
　…………………………………………ふぅ。

「――（汚いから流そうか？／登ってみようか？／やっぱり出よう）」

「ヒュー！　そうそうたる顔ぶれだぜ」

「七番街の被害報告が出ました。すでに稼動していた工場部分と現在までの投資額を考えると、我が社の損害は百億ギルをくだらないかと……また、七番プレートの再建にかかる費用は……」
「再建はしない」
「は？」
「七番プレートはこのまま放っておく。その代わりにネオ・ミッドガル計画を再開する」
「……では、古代種が？」
「約束の地は、まもなく我々のものになるだろう。それから、各地の魔晄料金を15％値上げしたまえ」
「値上げ値上げ！　うひょひょひょひょ！　ぜひ我が宇宙開発部にも予算を！」
「魔晄料金値上げによる差益はリーブ君とスカーレット君で分配したまえ」
「いいないいな！」
「プレジデント、これ以上の魔晄料金の値上げは住民の不満を招き……」
「大丈夫だ。愚かな住民たちは不満どころか、ますます神羅カンパニーに信頼を寄せることになる」
「ガハハハハ！　テロリストどもから七番街の市民を救ったのは神羅カンパニーですからな！」

「汚ねえ……」

「おお、宝条君、あの娘はどうかね」
「サンプルとして母親に劣る。母親イファルナとの比較中だが、初期段階で相違が18％」
「その検査にはどれくらいかかる？」
「ざっと百二十年。我々が生きているあいだは無理だろう。もちろん、あのサンプルもな。だから古代種を繁殖させようと思うのだ。しかも長命で実験に耐えうる強さも持たせることができる」
「約束の地はどうなる？　計画に支障は出ないのか？」
「……そのつもりだ。母は強く……そして、弱みを持つ」
「では、会議を終わる」
「臭うわね……」

「いまのはエアリスの話……だよな」
「わかんねえ」
「たぶん、ね」
「あとをつけよう」

「宝条……ってやつか……」

「思い出したぜ。あの宝条ってやつ、神羅の科学部門の責任者だ。クラウド、知らねえのか？」
「実際に見るのは初めてだ。そうか……あいつが……」

　さて……と、宝条さんに頼まれたサンプルは、と。

「今日の実験サンプルはそいつですか？」
「そうだ。すぐ実験に取りかかる。上の階にあげてくれ。可愛いサンプルよ……」

「可愛いサンプルよ……か。生物実験に使われるのかな？」

「ジェノバ……ジェノバ……セフィロスの……そうか……ここに運んだのか」
「クラウド、しっかりして！」
「見たか？」
「なにを？」
「動いてる……生きてる？」
「なんだい、この首なしは？　けっ、ばかばかしい。さっさと行こうぜ」

「エアリス！」
「エアリス？　ああ、この娘の名前だったな。なにか用か？」
「エアリスを返してもらおう」
「……部外者だな」
「最初に気づけよ」
「世のなかにはどうでもいいことが多いのでな。私を殺そうというのか？　それはやめたほうがいいな。ここの装置はデリケートだ。私がいなくなったら操作できまい？」
「くっ」
「そうそう、こういうときこそ、論理的思考によって行動することをお勧めするよ。さあ、サンプルを投入しろ！」
「クラウド、助けて！」
「なにをする気だ！」
「滅びゆく種族に愛の手を……どちらも絶滅間近だ。私が手を貸さないと、この種の生物は滅んでしまうからな」
「……生物？　ひどいわ！　エアリスは人間なのよ！」
「許せねえ！」
「バレット！　なんとかならないのか？」
「ええい！　退がってろ！」
「やめろ！　な、なんということだ。大事なサンプルが……」
「いまのうちにエアリスを！」
「ありがと、クラウド」
「どうしたの？　クラウド……」
「……エレベーターが動いている」
「今度はこんな半端なやつではないぞ。もっと凶暴なサンプルだ！」
「あいつは少々手強い。私の力を貸してやる」
「喋った!?」
「後でいくらでも喋ってやるよ、お嬢さん」
「あの化物は俺たちが片づける。誰かエアリスを安全なところへ……。（ティファ、頼んだぞ！／バレット、頼んだぞ！）おまえの名前は？」
「宝条は私をレッド13と名づけた。私にとっては無意味な名前だ。好きなように呼んでくれ」
「さあ、かかってこい！」

「エアリス、大丈夫か？」
「大丈夫みたいよ……いろいろな意味でね」
「……私にも選ぶ権利がある。二本足は好みじゃない」
「おまえ、なんだ？」
「興味深い問いだ。しかし、その問いは答えがたいな。私は見てのとおり、こういう存在だ……いろいろ質問もあるだろうが、とりあえず、ここから出ようか。道案内くらいならつきあってやる」
「クラウド……やっぱり来てくれたのね」
「さっきは失礼したな。宝条を油断させるために演技をしたつもりだったが……」
「さあ、エアリスを助ければ、もうこんなビルに用はない！　さっさと出ちまおうぜ」
「五人で行動していたら目立つ。ふた手に別れよう」

　あとでな！　【66Ｆエレベーター】で合流だ！
　先に行くわよ！　集合は【66Ｆエレベーター】よ。
　あとでね！　【66Ｆエレベーター】で待ってるから。
　遅れるなよ、【エレベーター】の場所はわかっているな？【66階】だぞ。

　ひゃっ！　殺さないで！　宝条博士に言われてやっただけなんだ。その証拠に……ほら、68階までのドアロックキーをきみたちにあげるよ。敵だったらこんなことするはずないだろ？……ねっ？

　どこ行くんだい？　【66Ｆエレベーター】でみんな待ってるぜ。
　どこ行くの？　【66Ｆエレベーター】でみんな待ってるわよ。
　そっちじゃない！　みんなは【66Ｆエレベーター】で待っているわ。