FF7 MEMORIES

ニブルヘイム炎上

ニブル魔晄炉

「着いたわ。ずいぶん遠まわりしちゃったけど」
「ティファはここで待っていてくれ」
「私もなかへ行く！　見たい！」
「このなかは一般人立入禁止だ。神羅の企業秘密でいっぱいだからな」
「でも！」
「お嬢さんを守ってやりな」
「ん、もう！　しっかり守ってね！」

「JENOVA……なんだろう。ロックは……あかないか……」
「動作異常の原因はこれだな。この部分が壊れているんだ。クラウド、バルブを閉じてくれ」

　バルブは閉じたのか？

「なぜ壊れた……？……わかったよ、宝条。でもな、こんなことしたって、あんたはガスト博士には敵わないのさ。これは魔晄エネルギーを凝縮してさらに冷やすシステムだ……本来はな。さて……さらに凝縮すると、魔晄エネルギーはどうなる？」
「え、ええと……そうだった！　マテリアができるんだな」
「そう、普通ならな。でも宝条はこのなかにあるものを入れた。……見ろ。窓からなかを覗いてみろ」
「こ、これは!?」
「おまえたち普通のソルジャーは魔晄を浴びた人間だ。一般人とは違うが、それでも人間なんだ。しかし、こいつらはなんだ？　おまえたちとは比べものにならないほど高密度の魔晄に浸されている」
「……これがモンスター？」
「そうだ。モンスターを生み出したのは神羅カンパニーの宝条だ。魔晄エネルギーが造り出す異形の生物。それがモンスターの正体」
「普通のソルジャーって？　あんたは違うのか？　お、おい、セフィロス」
「ま、まさか……俺も？……俺はこうして生み出されたのか？　俺はモンスターと同じだというのか……」
「……セフィロス」
「おまえも見ただろう！　こいつらのなかにいるのは……まさしく人間だ……」
「人間!?　まさか！」
「……子どもの頃から俺は感じていた。俺はほかのやつらとは違う。俺は特別な存在なんだと思っていた。しかし、それは……それは、こんな意味じゃない」

「俺は……人間なのか？　セフィロスがなにを言っているのか、そのときの俺にはわからなかった……俺はなによりも、神羅カンパニーがモンスターを造っていたということにショックを受けていた」
「くっ……神羅めっ！　ますます許せねえ！」
「……あの魔晄炉にはそんな秘密があったのね」
「ここ数年来のモンスターの増加にはそういった理由があったのか。これからのクラウドの話はじっくりと聞く必要があるな。そうではないか、バレット？」

（な、なんでオレに話を振るんだ？）

　セーブしてひと息入れよう

た、確かにそうかな。ここいらでひと息入れることにするか。

　このまま話を続けてくれ

　ケッ、余計なお世話だ。おい、クラウド、話を続けてくれ。

（フッ……）

ニブルヘイム炎上

　なるほどな……。

「ねえ、ティファ、あなたはずっと外で待ってたの？」
「……ええ」
「俺たちはニブルヘイムに戻った。セフィロスは宿屋に籠もり、誰とも言葉を交わそうとしない」
「そして、いなくなったのよね」
「セフィロスが見つかったのはニブルヘイムでいちばん大きな建物」
「村の人たちは神羅屋敷と呼んでいたわ。わたしたちが生まれた頃には、もう空き家になっていて……」
「昔、その屋敷は神羅カンパニーの人間が使っていた……」

　危険がないことがわかるまで、私たちはここを動かないからな。

　村に危害を加えるようなことはないだろうな？

　どうして……？

　……そんなことを訊く？

　会社に不利な情報を消すために、神羅のやってきたこと……各地を旅していると、いろんな話を聞くからな。

　そんなことはない！

　セフィロスに限って、そんなことはしないさ。

　おやおや、ずいぶん信頼してるんだな。

　セフィロスさんの姿が見えないんだ。確かにこの部屋に入ったのを見たんだけど……。

「二千年前の地層から見つかった仮死状態の生物。その生物をガスト博士はジェノバと命名した……×年×月×日。ジェノバを古代種と確認……。×年×月×日。ジェノバ・プロジェクト承認。魔晄炉一号機使用許可……。俺の母の名はジェノバ……ジェノバ・プロジェクト……これは偶然なのか？　ガスト博士……どうしてなにも教えてくれなかった？……どうして死んだ？」

　ひとりにしてくれ。

「それ以降、セフィロスは神羅屋敷に籠もりきりになった……。まるでなにかに取り憑かれたかのように書物を読みあさり、地下室の明かりは決して消えることはなかった……」

　セフィロスさんの様子が変なんだ。

「クックックッ……誰だ！　フッ……裏切り者め」
「裏切り者？」
「なにも知らぬ裏切り者よ。教えてやろう。この星はもともとセトラのものだった。セトラは旅をする民族。旅をして星をひらき、そしてまた旅……。つらく、厳しい旅の果てに約束の地を知り、至上の幸福を見つける。だが、旅を嫌う者達が現われた。その者は旅することをやめ、家を持ち、安楽な生活を選んだ。セトラと星が生み出したものを奪い、なにも返そうとしない。それがおまえたちの祖先だ」
「セフィロス……」
「昔、この星を災害が襲った。おまえたちの祖先は逃げまわり……隠れたおかげで生き延びた。星の危機はセトラの犠牲で回避された。そのあとでのうのうと数を増やしたのがおまえたちだ。セトラはこうしてレポートのなかに残るだけの種族になってしまった」
「それがあんたと、どういう関係があるんだ？」
「わからないか？　二千年前の地層から発見され、ジェノバと名付けられた古代種。そして、ジェノバ・プロジェクト。ジェノバ・プロジェクトとは古代種……つまり、セトラの能力を持った人間を創り出すことだ。……創り出されたのは俺だ」
「つ、創り出された？」
「そう。ジェノバ・プロジェクトの責任者、天才的科学者ガスト博士が俺を創り出した」
「そんなこと……どうやって……セ、セフィロス？」
「邪魔をするな。俺は母に会いに行く」

＜　ニブルヘイム炎上・セフィロスが村人を殺している　＞

「おっ、あんたか！　あんたは正気なんだろうな？　それなら、こっちに来て手伝ってくれ！　俺はこの家を見てくる。あんたはそっちの家を！」

　……な、なあ……俺、死んじゃうの？

　……セフィロ……ス。

「ひどい……セフィロス……ひどすぎる……」

＜　ニブル魔晄炉へ　＞

「パパ……。セフィロスね！　セフィロスがやったのね！　セフィロス……ソルジャー……魔晄炉……神羅……全部！　全部、大嫌い！」

「母さん、会いに来たよ。この扉をあけておくれ」
「よくもパパを！　よくも村のみんなを！」

＜　ティファ、セフィロスに斬られる　＞

「……ピンチの……ときには……来てくれるって、約束したのに……」

「母さん、いっしょにこの星を取り戻そうよ。俺、いいことを考えたんだよ。約束の地へ行こう」
「セフィロス……俺の家族を！　俺の故郷を！　よくもやってくれたな！」
「クックックッ……母さん、またやつらが来たよ。母さんは優れた能力と知識、そして魔法でこの星の支配者になるはずだった。けど、あいつらが……なんの取り柄もないあいつらが母さんたちからこの星を奪ったんだよね。でも、もう悲しまないで」
「俺の悲しみはどうしてくれる！　家族……友達……故郷を奪われた俺の悲しみは！　あんたの悲しみと同じだ！」
「クックックッ……俺の悲しみ？　なんを悲しむ？　俺は選ばれし者。この星の支配者として選ばれし存在だ。この星を愚かなおまえたちからセトラの手に取り戻すために生を受けた。なにを悲しめというのだ？」
「セフィロス……信頼していたのに……いや、おまえはもう、俺の知っているセフィロスじゃない！」

話が終わって

「……この話はここで終わりなんだ」
「ちょっと待てよ！　続きはどうなったんだ？」
「……憶えていない」
「セフィロスはどうなったの？」
「実力から言って、俺がセフィロスを斃せたとは思えないんだ」
「公式記録ではセフィロスは死んだことになっていたわ。新聞で見たもの」
「新聞は神羅が出してるのよ。信用できない」
「……俺は確かめたい。あのとき、なにがあったのかを。セフィロスに戦いを挑んだ俺はまだ生きている。セフィロスはなぜ俺を殺さなかったのか？」
「……わたしも生きているわ」
「なんだか、いろいろ、変。ねえ、ジェノバは？　神羅ビルにいたのはジェノバ、よね？」
「神羅がニブルヘイムからミドガルへ運んだのは確実だな」
「そのあと、また誰かが持ち出した？　神羅ビルからもなくなってたわよ」
「セフィロス……？」
「がーーーーっ！　わけがわかんねえ！　オレは行くぜ。オレは行くぜ！　オレは行くぜ！　考えるのはおまえたちに任せた！」

　おい、クラウド！　出発の準備を整えろ！

　ちょっと待て

クラウド、なにをためらう！　セフィロスが約束の地に向かうのを黙って見ているのか？　セフィロスも神羅も約束の地には行かせねえ。行かせちまったら取り返しのつかねえことになる。オレにわかるのはそれだけだぜ！

　素晴らしい！

任せておけって！

　それだけか？

　やれやれ……。

　いいじゃねえか、それで充分じゃねえかよ！

　わかったよ

よっしゃ、行こうぜ！

「やれやれ……」
「……ねえ、クラウド。セフィロスに斬られたわたしは、どんなふうだった？」
「もうダメだと思った……悲しかったよ」
「………」
「わたし……古代種……セトラ……ジェノバ……セフィロス……わたし……」
「行きましょう。バレットが待ってるわ」
「じつに興味深い話だ……」

　おい、クラウド、これを渡しておくぜ。