FF7 MEMORIES

「かーっ！　暑いな、ここは！　だがよ、せいせいしたぜ！　これで、ちっこいセーラー服とおさらばだからな。いいか！　こっからは一般人として行動しろ！」
「あら残念、バレットの水兵姿、可愛かったのに、結構」
「……可愛いだと？」

　うんうん、バレット、あのセーラー服、パジャマにしなさい、ね、クラウドもそう思うでしょ？

　そうだな

　ああ……マシュマロかぶったクマみたいで、ぴったりだった。
　なにっ！　余計な世話だ！　オレはこの一張羅がいちばん落ち着くんだ！

　そんなことよりもセフィロスを

　俺たちはバカンスで来たんじゃない。セフィロスを追うんだ。先を急ぐぞ。
　ケッ、クラウドさんよ、道草が好きなのはおまえさんだろ。こんな場違いなリゾート地はすっ飛ばしていくぜ！

「ゼェゼェ……すまないが、少し急いでくれないか。ここは暑い。私の赤鼻が乾いてしまう」

　あたしも！

「わかった、小休止のあと、出発する。あまり遠くへは行くな」

　チッ、すっかりリーダー気どりだな。

　泳ぎに行っちゃおうかな。
　そうしよっか？　んん……？　クラウドくん、いまなにか想像しちゃったかな？　クールな顔が崩れてますよ〜。さ、行こ行こ！

　たまには日焼けでもしちゃおっかな。クラウドはどっちが好み？（肌は白いほうが好きだ／元気に焼けてるほうがいいかな）　はいっ、参考にしとくね。
　自慢の毛並みが乱れてきたようだ。涼しいところで休んでいるよ。
　捜さないでくれよっ！

　きみたち密航者なんでしょ。いやあ、いいですよ。もう慣れっこですから。じつは僕もここに就職する前ね、密航の常習犯だったりなんかしちゃって。ここは太陽の降りそそぐ常夏の楽園コスタ・デル・ソルの港！　うーん、うまくいきません……観光案内は街のほうでどうぞ。
　邪魔しないでくれよ、ルーファウスさまが社長就任以来、初の到着なんだ。今日は珍しく仕事の用事みたいなんだけどね。でも羨ましいよなあ。僕とそんなに歳も変わらないのに、社長だもんなあ。
　まいったなあ……神羅の課長さん、おりてこないんですよ。出張で来てるのにねえ。仕事忘れちゃって遊んでばっかり。
　あなたたち、あくせく働く運搬船の労働者にはわからないでしょうねえ。マリンブルーの海の上、どこまでも続くイターナルな空を眺めながらセスナの翼の上でお昼寝する気分。そりゃあ、もう最高なのよ。
　ヘラヘラ……もうじき神羅のおえらがたが着くんだって？　ヘラヘラ……俺たちには全然関係ねえよな。

「長時間の船旅、お疲れさまです！」
「うむ……ご苦労……」
「ガハハハ！　スキッフの準備を急げ！」
「はっ」
「セフィロスが乗っていたらしいな」
「……はっ」
「クラウドたちも乗っていたらしいな」
「……はっ」
「どちらも取り逃がした……大失態だな、ハイデッカー君」
「面目ない……です」
「いつから返事と謝ることしかできなくなったのだ……きみは」
「スキッフ発進準備完了いたしました！」
「……なんとかしたまえ。期待している」

　まいったなあ。パンツまでびしょびしょ。あ！　あんたたち、もしかして巷で噂のアバランチの残党！　さ！　早く逃げて逃げて。運搬船はハイデッカーの管理下に置かれちゃいましたよ。大変ですね、おたがい。運搬船は当分のあいだ出航しませんよ。ハイデッカーの指示なしにはね。
　ウオオオ！　こんな会社、辞めてやるう！　辞めてやるっぞう！　ハイデッカーのバカヤロウッー！　ルーファウスのかっこつけ野郎―！　ああ……気持ちいい……。

　おっと！　離れて離れて！　指紋つけたり傷つけたりへこませたりしたらただじゃおかないぞ。飛・行・機！　きみたちには一生手の届かない代物。ま、せいぜい、遠くから眺めるだけにしてくれよ。
　なかなかいい男ね……あ、あなたのことじゃないから安心して。ルーファウス社長のことよ。魅力的よね。お金持ってるし、金髪だし、ダブルのスーツだし。

　ねえ、退屈してない？

　それほどでもない

あら、そ〜う。私はちょ〜っと退屈な気分なのよ。

　バトルが多くてね

あら、いいじゃない。そりゃあ、贅沢ってもんよ。私なんか、こんなところに閉じこめられてなんの刺激もない生活。いいなあ、変なドラゴンとか気味の悪いモンスターに会えるなんて。そうそう、この先のコレル山には大きな鳥のモンスターがいて、石になる攻撃をしてくるっていう噂よ。気をつけて準備したほうがいいわね。さ、お仕事、お仕事。

　はい、こちら！　コスタ・デル・ソル観光案内でーす。なにが知りたいかしら？

　宿を探してる

そうねえ、街外れのリゾートインがお勧めよ。といっても、この街のホテルはあそこだけなんだけどね。

　店を探してる

旅のお土産マテリアなら、ブッチのお店がお勧めよ！　あら？　もしかして、あっち関係のお店？　それなら、BARで話してみるといいわ。

　観光案内してくれ

ちょっと待ってね。いま、マニュアル見るから。ここ、コスタ・デル・ソルは西の大陸の玄関として、また世界有数のリゾート地として古くから発展してきました……あーん、もう！　どうでもいいわね。そんなこと。遊ぶんだったらビーチへどうぞ。可愛い女の子もたくさんいるわよ。あなたたち、もしかしてお金持ち？

　ああ……

うそ〜！　身なりを見ればわかっちゃうわよ。でも、いちおう教えとくね。コスタ・デル・ソルで休んだあとはゴールドソーサーへ抜けるのがリッチでメジャーな観光コースなの。

　そうでもない

やっぱりね〜。でも、もしかして興味あるかしら？　ゴールドソーサーへの道。ここからずーっと南のゴールドソーサーには、カジノや遊園地があるのよ。でもねー、歩いていくのは山越え谷越え、そりゃもう大変らしいの。ま、旅してるなら、一度は行ってみるといいんじゃない。

　フム、興味深い。この行動だが、私はやりたくてやっているわけではないのだ。この尻尾めが私の意志とは無関係に動いてしまうのだよ。［ボールをぶつけたあと：　ガルルルル……］
　わたし、聞いちゃった。あの大きな犬、人の言葉話すの。じっちゃん、暑いよう……だって。変なの！［レッド13がいない：　あのね、気持ちの悪いおじちゃんが手招きしてたの。怖かったからね、ここで遊んでるの］
　１、２、３、キッキン！

　ね、このへんで手を打っちゃおうか。
　ダメ、妥協しちゃいけない。
　そうね、旅費だって高かったんだし。
　でも、なんだってこのくらいのしか声をかけてこないの。
　それはきっとあれ。あたしたちが美しすぎるってやつ。
　そうね、あーん、普通の女の子が羨ましい。
　ね、もういいんじゃない？　これで我慢しちゃおう。

　あ、クラウド！　ちょっとだけ稼がせてよ！　ここはマテリアも売ってんだ。ね、なんか買ってよ！　お客さん、注文はカウンターでお願いします。ああっ！　気持ちいいっ！　一度言ってみたかったこのセリフ！
　いやあ、バイトで可愛い子が入ってくれたんで大助かりです。［ユフィがいない：　いやあ、ぴちぴちした女の子でも雇って楽がしたいですなあ］

　うーん！　んんっ〜！　マリーン！　元気かあ……？　父ちゃん、これ着て会いにいくからなあ。

　おう！　いま使用中だっ！

　チェッ、惜しい！　あ、あんたさ！　連れに可愛い女の子がいるでしょ。さっき捜しに来てたけど、いいのかい？　ほっといても。どうすんだい？　ほっといてもう休みます？　一泊200ギルだよ。

　休む

波音に抱かれて……いい夢を。

　気が変わった

そりゃそうだよね。どうぞ、どうぞ、またあとでお越しください。

　チェッ！　調子悪っ！　あっ、あんたさ！　あの大きな水兵さんの連れのかただろ？

　なんのことだ

　どうしたんだ？
　聞いてくれます？　いきなり！　大きな水兵さんがドカドカやってきて、トイレ占領しちまって、それっきり、ずーっと唸ってるんだ。まいっちゃうよ。はあ……あっ、お泊まりなら、悪いけど、あの人のぶんも頼むね。
　おう、クラウド！　まだ早いんじゃねえか？
　どうすんだい？　もうお休みにするかい？　一泊200ギルだよ。

　休んでいくか

波音に抱かれて……いい夢を。

　気が変わった

そうですかい、またおいでくださいね。

　俺には関係ないな

　知らないね。
　……人違いか。困るんだよね、あの人、トイレ占拠しちまって。宿代の支払いもまだだし、はぁ……あっ、お泊まりなら、悪いけど、あの人のぶんも頼むね。
　おう、クラウド！　まだ早いんじゃねえか？
　やだなあ、やっぱり知りあいじゃないの……嘘つき。どうすんの？　もう休むかい？

　休んでいくか

波音に抱かれて……いい夢を。

　気が変わった

そうですかい、またおいでくださいね。

　なななななんだ？　あななななたは！　ああっ、あんたは？　もしかしてえ！　元ソルジャー、かつ幼なじみでもてもての遊び人。そ、そして……人殺し野郎！　えっと……お名前なんでしたっけ？

　おまえこそ誰だ

そうだよなあ。久しぶりだもんな。俺のことなんか忘れちゃったか。いいぜ、このままあんたと俺は関係なし。俺はこの街で新しい暮らしを始めた。おたがい、いろいろあったよな。や！　もう愚痴るのはやめ！　いいよな、あんたたちみたいに能天気に生きられりゃよ。

　クラウドだ、憶えとけ

堂々と名乗るくらいのご身分とはね！　聞いて呆れるぜ。や！　もう愚痴るのはやめ！　おたがい、新しい人生を生きような！

　お客さん、ごめんなさいね！　彼、ここんとこショックなことが多くて、ずーっと塞ぎこんでるのよ〜。
　早く出てってくれよ！　俺はこれでもハッピーにやってんだ。俺のラブリーな生活を邪魔しないでくれ！

　僕、この街気に入っちゃった。裸で歩いてても白い目で見られないもんね。
　ヒッッッック……ん？　注文かい？　いまはないよう。
　ゼエゼエ……暑いとこ、苦手……。
　おキャクさん、ノむか、サケ？　ソだな、ウン、ゆっくりしてケ。

　やっぱ今年はスノボかな。もう、サーフィンは飽きちゃったよ。
　俺たち、これからゴールドソーサーへ向かうんだ。噂のチョコボレースで旅費を稼いで、スノボやりにアイシクルロッジへ長い旅するのさ。

　バール・デル・ソルへようこそ。トロピカルな夜に乾杯。
　あらっ！　いらっしゃると思ってたわｖ（釣った魚が一匹二匹……これで四匹め。まあまあね）
　頼むよ、買ってくれないと俺の生活が……。