FF7 MEMORIES

　!?　やれやれ……こんなときに故障か？

「ただいま〜！　ナナキ、帰りました〜」
「おお、ナナキ！　無事だったか！　さあ、ブーゲンハーゲンさまにご挨拶を！」
「……ナナキ？」

　ついに来たぜ……ここが、ここが、コスモキャニオンか！
　レッド13、なんだか様子が変じゃない？
　コスモ……キャニオン？　関係あるのかな？　星とか、古代種とか……。
　ムフフ……あるかな、マテリア？　マテリア、あるかな？
　ハァ……これがコスモキャニオンですか。

　ようこそ、コスモキャニオンへ。この地のことはご存じですか？

　知っている

嘘をつきましたね。このコスモキャニオンでは許されないことですよ。

　知らないな

　では語らせていただきましょう。ここには世界じゅうから【星命学】を求める人々が集まってきます。
　うおおおお……来たかったぜ、コスモキャニオン！
　んが！　いまは定員いっぱいなので、なかには入れてあげられません。

「その人たちにはほんのちょっとだけ世話になったんだ。入れてあげてよ」
「……そうでしたか。ナナキがほんのちょっとだけ世話になりましたか。では、どうぞお入りください」

「ナナキというのは？」
「ナナキはナナキ。彼の名前です」

　ようこそ、コスモキャニオンへ。ゆっくりしていってください」
　わーい、わーい！　ナナキが！　ナナキが帰って来たです！　この炎のおかげなのです！　この火はね、コスモキャンドルなのです。むかーしむかしから燃やされつづけてるのです！　つまり、この谷を守る聖なる炎ってわけなのです。でもね、あたしが生まれるうんと前に、一度だけこの火が消えたことがあったんですって……とってもこわーいことがあったって長老は言ってたけど、あたし、よくわからないのです。

　これがコスモキャニオン。なるほど、神秘的な場所ですね。あなたがたも星命学の研究にいらしたので？

　そんなところだ

やはりそうですか。なんでもここにはすごい天文台があるそうですね。ぜひ一度見てみたいものです。

　そうじゃない

おや、さようで。え？　車が故障？　それはそれは、なにせこのあたりは道らしい道もないですからね。そういうことなら任せてください。こう見えてもね、メカには結構詳しいんです。車が直るまでコスモキャニオンを見学されては？［車が故障していないとき：　おや、そうですか。しかし、ここにはほかに見るべきものもあまりないようですがね］

　うわっ！　脅かさないでくださいよ。危うく落ちるところだった。

　やあ、どうも。なにをお探しかな？

「ここがオイラの……違う、違う！……ここが私の故郷だ。私の一族はこの美しい谷と星を理解する人々を守って暮らしてきた。だが、勇ましい戦士であった母は死に、腑抜けの父は逃げ出し、一族は私だけになってしまった」
「腑抜けの父？」
「ああ、父は見さげた腑抜け野郎だ。だから、ここを守るのは残された私の使命だ。私の旅はここで終わりだ」
「おーい、ナナキ〜！　帰ったのか〜！」
「いま行くよ、じっちゃん！」

　ちょうどいい、オレたちもここらで小休止といこうぜ。オレはいろいろ知りてえこともあるしな」
　ちょうどいいわ、わたしたちもひと休みしない？　しばらく自由行動ね！
　ね、ちょっと休んでこ。わたし、いろいろ聞いてみたいことあるし。
　休も休も休も！　アタシたちも休も！　よし、けってーい！
　もうヘロヘロですわ。みなさん、ぼちぼち休みにしませんか？

『チラシ：　おいしいカクテル！　パブ【スターレット】。ふかふかのベッド！　宿屋【シルドラ・イン】ぜひ一度、お立ち寄りください！　聖火コスモキャンドルのすぐそばです！』

　あら、いらっしゃい。この谷の人間は争いを嫌うからね。ここにあるのも、ほとんどレプリカなのさ。でも大丈夫、ちゃんと使えるものもあるからね。

『かめ道楽通信ナンバー４：　アルバイト募集！　退屈に耐えられる我慢強いかた求む！　詳しいお問いあわせは居酒屋【かめ道楽】まで！』

　レッド13……どうしたのかな？　子どもみたいにはしゃいで。
　ここなら、約束の地とか古代種とか、詳しい人、いるかもね。

　そうか、そうか、おまえさんたちがナナキを連れてきてくれたのか。ウンウン、ありがとうよ。
　いらっしゃい。うちのオリジナルカクテル、コスモキャンドルはいかがですか？　お酒はいいですよ。人の心を朗らかにさせますから。……ほどほどならね。
　ようこそ、【シルドラ・イン】へ。一泊100ギルになりますが、お休みになりますか？（ああ／やめておく）素敵な星の夢を……。星の囁きは聞こえましたか？　では、またのお越しをお待ちしております。

『かめ道楽通信ナンバー５：　カクテルもいいけど、やっぱり地酒がいちばん！　ぜひ一度居酒屋【かめ道楽】へ！』

　ここで星命学を学んだ男がいたんだ。そいつは感動して、このままじゃいけないと考えて、ミッドガルでアバランチを結成した……こんな話、興味ないよな？

　続けてくれ

言ってみりゃ、ここがアバランチの原点だな。オレも一度は来てみたいと思っていたが……ついに……来た……ぜ。いろいろ……あったぜ……。

　続きは？

続き……？　これからのことはわからねえ。アバランチはもうねえんだ……。

　興味ないな

　興味ないな

　どこへやったかいの……確かこのへんに……。

　この扉って、ブーゲンハーゲンさまがフーインしてるからあかないんだ。フーインってなんだろ？　きょうりょくせっちゃくざいのことかな？

　なんや、いろんな秘密がありそうなとこやな。ところで、オバちゃん、ご飯まだですか？
　はいはい、いま作ってますよ……でも、いったいどっちが食べるのかしら。ああ、忙しい。もっと人手が欲しいわ。ブツブツ。

　ああ！　退屈なところだよ。たいしたマテリアないしね。

　ムニャムニャ……お客さん……おつり……おつり忘れてます……ンニャ……はーい……ただいま……お買いもの……ですかあ？

　そうだ

ああ、そうですか……お買い……もの……お買いもの!?　し、失礼しました！　あんまりお客さんが来ないもんで……あ、でもマテリアは自信ありますよ！

　そうじゃない

ああ、そうですか……なら、ほっといて……ムニャ。

　し、失礼しました！　いや、すっかり怠け癖がついてしまったみたいで……。

「クラウド、この人がブーゲンのじっちゃん。なんでも知ってる、すごいじっちゃんさ」
「ホーホーホウ。ナナキはちょっとだけ世話になったようじゃの。ナナキはまだ子どもだからのう」

「やめてくれよ、じっちゃん！　オイラはもう四十八歳だよ」
「ホーホーホウ。ナナキの一族は長命じゃ。四十八歳といっても、人間の年で数えればまだ十五、六歳くらいのものじゃ」
「十五、六歳？」
「無口で考え深い。あんたは、ナナキのことを立派な大人だと思っていたのかな？」
「……じっちゃん、オイラ、早く大人になりたいんだよ。早くじっちゃんたちを守れるようになりたかったんだよ」
「ホーホーホウ。いかんな、ナナキ。背伸びしてはいかん。背伸びをすると、いつかは身を滅ぼす。天に届け、星をも掴めとばかりに造られた魔晄都市。あれを見たのであろう？　あれが悪い見本じゃ。上ばかり見ていて、自分の身のほどを忘れておる。この星が死ぬときになって、やっと気づくのじゃ。自分がなにも知らないことにな」
「……星が死ぬ？」
「ホーホーホウ。　明日か百年後か……それほど遠くはない」
「どうして、そんなことがわかるんだ？」
「星の悲鳴が聞こえるのじゃ」
「これは？」
「天に輝く星の音。こうしているうちにも星は生まれ、死ぬ」
「いまのは？」
「ホーホーホウ。この星の叫びじゃ。痛い、苦しい……そんなふうに聞こえるじゃろ？」
「クラウドたちは星の命を救うために旅をしているんだ。じっちゃんの自慢のあれを見せてやったらどうかな」
「ホーホーホウ！　星を救う！　ホーホーホウ！　そんなことは不可能じゃ。人間なんぞになにができる。しかし、なんじゃ、わしの自慢のあれを見るのはけして無駄ではなかろう」
「ブーゲンハーゲンさま〜！　また変てこな人たちがいっぱい来ましたです〜」

「なんじゃ、急に騒がしくなったな」
「ああ、その人たちもクラウドの仲間だ。オイラが行くよ。そうだ、クラウド、誰か連れておいでよ。じっちゃんのあれは定員三名だからね」

　そう慌てんでも、わしのあれは逃げたりはせんよ。仲間も誘ってくるといい。

　なんだ？
　どこかへ行くの？
　なーに？
　オイラはいいよ〜。何度も見たからさ。久しぶりに帰ってきたんだ。ゆっくりさせてよ。
　ウー、勉強は嫌いだよっ！

　なんや言いましたか？