FF7 MEMORIES

　……うっ！……古代種の言葉？……だめだ、俺にはわからない。［２度目：　……うっ！　またか。意識に流れこんでくる……古代種の言葉なのか？……ダメだ、俺にはわからない］

　お、おい、ちょっと待ってくれ。そっちの方角へ行くと北の山に出ちまうぜ。早くエアリスを捜そうぜ。
　ち、ちょっとクラウド、そのまま進むと北の山に出るわ。エアリスはそっちにはいないんじゃないの？
　ま、待ってよ。そっちは北の山に行く道だよ。エアリス捜すの、方向違うよ。
　あ〜、もーっいやっ！　エアリス捜すんでしょ！　雪山のほう行ってどーすんの！　サイテー！
　ち、ちょっと待ってえ〜な。クラウドさん、そっちは北の山へ行く道やで。エアリスさんが待ってますんや。はよ、捜しに行きましょ。
　待て、クラウド。これは北の山へ向かう道。エアリスを捜すのはもう諦めたのか？
　お……おい、クラウド。雪山でスキーでもするつもりか？　エアリス捜すんならそっちじゃないだろ、え？

　おっ、ベッドがあるぜ。
　ここに住んでた人たちが使っていたものかしら？
　あっ、ベッドがあるよ。
　ラッキー、こんなところにベッドがあるなんて〜。
　こら、運がええですわ。ええとこにベッドがあります。
　ここの住人が使っていたのか？
　おっ、意外と心地よさそうなベッドじゃねえか。

　よお、クラウド、ここいらで一服しようぜ。
　ひと休み、していきましょうか？
　ねえ、休んでいこうよ。オイラ、疲れちゃった。
　ねぇ〜、休もうよ〜。あたい、もう歩きたくなーい。
　クラウドさん、ひと眠りしませんか？
　ひと眠りするか？
　疲れも溜まってたし、ちっと休んでいかねえか？

「感じる……」

　クラウド、どうした？
　クラウド……どうしたの？
　どうしたんだい？　気分でも悪いの？
　あれ〜、クラウド、どしたの？
　どないしたんですかあ〜。こないな時間に〜。
　……どうした？
　おい、何時だと思ってんだよ！

「ここに、エアリスがいる……そして、セフィロスも」

　な、なんだって！　セフィロスが？
　エアリスだけではなく、セフィロスまでいるというの？
　え！　セフィロスまでいるの？
　うっそー！　セフィロスなんてお呼びじゃないのに〜。
　ほ、ほんまですか？　クラウドさん？
　……それが本当なら、まずいな。
　おいおい、ほんとかよ！

　しかし、なんでそんなことがわかるんだ？
　でも、どうしてそんなことがわかるの？
　どうしてわかったんだい？
　ど、どーして？　どーしてそんなことがわかっちゃうわけ？
　でも、なんでそんなん、わかるんですか？
　……なぜ、わかった？
　でもよお、なんでそんなことがわかるんだ？

「理屈じゃない。感じるんだ。俺の心が……」

　まずいぜ、それじゃ！　のんきに寝てる場合じゃないぞ！
　それが本当なら、急がなきゃ。早くエアリスを！
　ど、どうしよう？　急がないと、大変なことになるよ！
　それって、ちょーマズいんじゃない？
　それが、ほんまやったら、えらいことや！　はよエアリスさん見つけんとあかんわ。
　それが本当なら、急ぐべきだ。取り返しのつかないことになる。
　やべえぞ、クラウド。のほほんとしてる場合じゃねえな。

「ああ、早くエアリスを捜そう」

　エアリスを捜さなくては……。

「エアリスの声の聞こえた方向……あっちか？」

「エアリス？」

「！」

　クラウド！
　やめて！
　なにをするんだ！
　ストーーップ！
　なにしとんや！
　やめろ！
　バカッ！

「くっ……俺になにをさせる気だ」

「……エアリス……嘘だろ？」
「気にすることはない。まもなくこの娘も星をめぐるエネルギーとなる。私の寄り道はもう終わった。あとは北をめざすのみ。雪原のむこうに待っている【約束の地】。私はそこで、新たな存在として星と一体化する。そのときはその娘も……」
「……黙れ。自然のサイクルも、おまえの馬鹿げた計画も関係ない。エアリスがいなくなってしまう。エアリスはもう喋らない。もう……笑わない。泣かない……怒らない……俺たちは……どうしたらいい？　この痛みはどうしたらいい？　指先がちりちりする。口のなかはからからだ。目の奥が熱いんだ！」
「なにを言っているのだ？　おまえに感情があるとでもいうのか？」
「あたりまえだ！　俺がなんだと言うんだ！」
「クックック……悲しむふりはやめろ。怒りに震える演技も必要ない。なぜなら、クラウド、おまえは……」

「おまえは……人形だ」
「俺が……人形？」

「みんな、聞いてくれ。俺はニブルヘイムで生まれた元ソルジャーのクラウドだ。セフィロスとの決着をつけるためにここまでやってきた」

　……なにが言いてえ？
　……どうしたの？
　……あん？
　こんなときに、どして？
　なんや、いきなりあらたまって、どないしたんですか？
　……そうだな。
　前にも聞いたぜ。

「俺は、自分の意志でここまでやってきた……そう思っていた。しかし……正直に話す。俺は自分が怖い……俺のなかには俺の知らない部分がある。俺はセフィロスに黒マテリアを渡してしまった。みんなが止めてくれなければ、エアリスをこの手で……そういう自分が俺のなかにいる。俺ではない自分が。だから俺はもう、この旅をやめたほうがいいのかもしれない。とんでもないことをしてしまうのかもしれない。でも、俺は行く。五年前、俺の故郷を焼き払い、たったいま、エアリスを殺し、そしてこの星を破壊しようとしているセフィロスを……俺は許さない。俺は……俺は行かなくてはならない。……頼みがある。みんなも来てくれ……るよな？……俺がおかしな真似をしないように見張っていてほしいんだ」

　……でもよ、なんだかよ……。
　……でも、クラウド。
　……わかった、クラウド。
　アタシに任せな！
　見張るやなんて、そんな……おんなじ仲間やないですか〜。
　……そうだな。
　ま、なんだな。そんときは、そんときだ。

「エアリスがどうやってメテオを防ごうとしたのかはわからない。いまとなっては俺たちにはそれを知る方法もない。でも！　まだ、チャンスはある。セフィロスがメテオを使う前に黒マテリアを取り返すんだ。行こう」