FF7 MEMORIES

　セフィロスは……どっちに行ったのかしら？
　セフィロスは……どっちに行ったのかな？
　えーっと、セフィロス、どっち？
　セフィロスはどっち行ったんやろ？
　セフィロス……どこへ向かった？
　どっちに行きやがったんだ？　セフィロスの野郎はよ。

「……うっ」

　おい、大丈夫か？
　クラウド！　しっかりして！
　ち、ちょっと、しっかりしてよ！
　クラウドさん、大丈夫ですか？
　……大丈夫か？
　お、おい、大丈夫か？

「ああ……セフィロスは言っていた……北をめざす……【雪原のむこう】と……」

　もうすぐ完成なのよ！
　次はもっと大きなのを作るんだ。

　じっちゃん、起きて！　お客さんだよ！
　フガフガ……おお……よう来なさった。

　あの子ったら、引っ越してすぐに怪我しちゃうんだから……スノーボードなんか買ってあげるんじゃなかったわ。
　……グスングスン。

　私の旦那は二十年前に出かけたきりで、まだ帰ってこないのよ。地図に描いてあるペケ印のガイアの絶壁の麓まで行ってるはずなんだけど。
　この家のお爺さんは登山家だそうなの。なんでも、あの広い大氷河をすべて見てまわったそうなのよ！
　北の果てに辿りつくためには、地図がなければ不可能に近いんだ。北の果てに行くつもりなら、壁に貼ってある地図を持っていきな。［地図を手に入れている：　お、ちゃっかりしてるなあ！　もう地図を剥がしてるんだな］

　おばあちゃん、火の近くで眠っちゃダメよ！
　ついつい、いい気持ちになってね。

　今日はいちだんと寒いねえ。
　ふう、なんだい？　火傷するから、近寄るんじゃねえぞ。

　この村の先にデンジャラスな坂があるらしいんだけどさ。滑らせてくれないんだ。
　こんな遠くまで来たのについてねえぜ、まったく！
　あたしたちい〜、コスタ・デル・ソルから〜、スノボしにきたんだけどお〜、もう、帰っちゃうのよ！

　なんでも、この村の北の大氷河には温泉嫌いの雪女がいるらしいとか……いやあ、これは旅人を驚かせるための単なる迷信だと思うんですがね。

　いらっしゃーい！　あなたって強そ〜！　ねえ、よかったら話し相手になってあげようか？

　ああ

　あの人の相手、とってもつまんなかったの。
　俺の話ってつまんないのかな〜？

　興味ない

　なによ、つんとしちゃって、感じ悪〜い！
　ずーっと北に行くと、でっかいクレーターがあるらしいんだ。大昔になにかが降ってきたに違いないよ！
　へぇ〜、そうなの？

　北へ行くつもりなのか？

　そのつもりだ

そうかあ……いや、この村より先に行くには地図でもなければ無理だぜ。ホルゾフさんの家なら地図が残ってるかもなあ？　あの人、登山家だったんだよ。

　違う

そうか、そうか、ま、なにもないところだけど、ゆっくりしていきな。

　どうせ大氷河に迷いこんで野垂れ死にするに決まってる。どんな重装備でも、大氷河の寒さじゃ二日ともたないぜ。
　この村の北の大氷河に向かったやつがいるらしいぜ。馬鹿だよな、あの温泉にでも浸かりにいくつもりなのかな？

　セトラって知ってるか？　セトラってのは、えーと、なんてたっけ？　そうそう、古代種のことだよな。そう、昔、この村にはセトラの生き残りが住んでいたんだ。イファルナっていう女の人で、いろんなことを知ってたんだけどな……。
　けどな、って、いったいどうしたんだよ？
　彼女はな、神羅に連れられて、どこかに行っちゃったらしいんだ。
　神羅と古代種……なんか、怪しい臭いがするよな。

　ダメダメ！　この先はすごい下り坂なんだ。危険だから入らないでくれ！

　それでも行く

なんだよ、人が親切に……な、なんだ、むこうのやつらは？　やばそうだぜ！

　親切に、ありがとう

いやいや、当然のことをしたまでで。よし、暇だから、スノーボードの乗りかたを教えてやろうか？

　頼もうかな

もう一度説明しようか？（頼む／遠慮する）

　興味ないね

つまんねえやつだな。

「いたわ、急いで！」
「ハイッ！」
「クラウド……ハアハア。ここから先へは進ませないわよ！」
「この先になにがあるんだ？」
「ヒ・ミ・ツ。そんなことはどうでもいいの！　よくも、わたしのボスをやってくれたわね！」
「ボス……ツォンのことか？　あれは俺たちじゃない。セフィロスがやったんだ」
「いいえ、騙されるもんですか」
「嘘なんかついてない……セフィロスなんだ」
「いくらしらを切ってもムダよ、絶対、許せない！」
「まいったな……」
「口でも言っても無駄なんだったら、身体に聞いてもらおうじゃないの！」
「私たちがコイツを！」
「いえ、わたしひとりで充分よ！　わたしのパンチをよけられるはずがないわ」
「えっ？　ええ……」

　パンチをかわした
　い、イリーナさん!?
　なんだ、あいつら？　神羅なのに弱かったな。

　パンチをかわせなかった
　なぜ？　わざと、よけなかった……どうせ、あの大氷河を越えられるはずがないわ。どこかの家に放りこんでおいて！

ビデオを再生しますか？

　はい

　（昔の）星の危機について

　カメラは、これでよし！　では、イファルナさん、セトラの話をお願いします。
　およそ二千年前、わたしたちセトラの祖先はこの星の悲鳴を聞いたそうです。最初に星の大きな傷口を見つけたのはノルズポルにいたセトラたちでした。
　イファルナさん……ノルズポルという土地は、どこにあるのです？
　ノルズポルとはこのあたりのことです。そして、セトラたちは星読みを始めました。
　イファルナさん、星読みとはどういうことなのですか？
　……うまく表現できませんけど、星と対話することなのです……星は空から降ってきたなにかと衝突して傷ついたと語ったそうです。何千人ものセトラが力を合わせました。星の傷を癒そうとしたのです……でも、その傷はあまりにも深く、星自身が長い年月をかけて治すほかはなかったのです。
　古代種、いや、セトラは星を治す特別な能力を持っているのですか？
　いえ、そういう力ではありません。星の上にあるものすべての生命力がエネルギーになるのです。セトラたちは必要とされるエネルギーを絶やさぬために、必死で土地を育てようとしたのですが……。
　ふむ、北の大空洞に近いこの地に雪解けの時期が来ないのは、星の傷にエネルギーが集中しているからなのか。
　ええ、傷の回復に費やすエネルギーは、急速に土地を枯れさせ……そして星は……星はセトラにノルズポルから離れるように勧めたそうです……でも。
　イファルナさん……少し休みましょう。
　大丈夫です……セトラたちが……長年親しんだ土地から旅立ちの準備をしていたとき……そのとき、そのものは現われたのです！　その姿は、亡き母の……亡き兄のものでした。それぞれに過去の幻影を見せるのです。
　北の大空洞に現れたそのものとはいったい何者なのですか？　まるで見当がつかないのですが。
　それが星を傷つけたものです……空から来た厄災！　わたしたちはそう呼んでいます。そのものは親しげな顔でセトラたちに近づき……欺き……そして……ウィルスを……ウィルスを与えたのです。ウィルスに侵されたセトラたちは心を失い……そしてモンスターと化しました。そのものはノルズポルと同じように別のセトラの部族に近づき……そしてまた……ウィルスを……。
　顔色があまりよくない……今日はこれで終わりにしましょう。

　ウェポンについて

　では、イファルナさん。ウェポンという名のものの存在について語っていただけますか？
　はい、博士。博士がセトラだと誤解したもの……ジェノバと名づけたものこそが……空から来た厄災なのです。その空から来た厄災を滅ぼすことを星が意識しはじめました……ジェノバが存在する限り、星が自身の力で傷を完全に治すことができないからなのです。
　では、ウェポンとは、星の意志が生み出した兵器ということですか？
　ええ、でも……実際にウェポンが使われた歴史がないのです。少数の生き残ったセトラたちがジェノバに打ち勝ち、そして封印したのです。星はウェポンを生み出しました……しかし、使う必要がなくなったのです。
　もう、この星にウェポンは存在していないのですか？
　ウェポンが消えることはありません。……この星のどこかで眠っているのです。ジェノバを封印したと言っても、いつよみがえらないとも限りません……星の傷は完全に治ってはいないのです。星はまだジェノバを警戒しています。
　ウェポンが眠っている場所はどこですか？
　わたしにはわかりません……星の声は……もうあまり聞こえないのです。時代は……変わりました。星は……きっと様子を見ているのだと思います。
　……ありがとう、イファルナさん。今日はこのくらいで……。

　プライベート

　娘の記録・生後十日目

　博士……いえ、あなた、なにをしてるの？
　あっ、ビデオを撮ろうと思っているんですよ。でも、なんだかビデオの調子が悪くて……。
　なにを撮るの？　まだ話していないことがあったかしら？
　いえ、そんなことではないです。可愛い我が子を撮るんですよ。この眠っている顔がまた、とても可愛いんです。
　もう、それならビデオより先にこの子の名前を決めなくちゃ！
　私はもう決めてますよ！　女の子だったらエアリス。これしかありません！
　もう、勝手な人ね……でも、エアリスっていい名前ね！　うふふ……あなたの堅い頭で考えたにしては上出来じゃないかしら。
　でしょ？　あっ、ビデオのテープがっ……。

　娘の記録・生後二十日目

　あなた、またビデオ？　このまえ撮ったばかりじゃないの！
　……そう言わないでくださいよ。わ、私と……あ、あなたのとっても可愛い娘なんですよ！　彼女のすくすくと育っていく姿を残しておきたいと思いませんか？
　そんなに可愛がってばかりじゃ強い子に育たないかもしれない……エアリスは普通の子と違うんだから、これからどんな人生が待っているか……。
　そんなこと言っちゃダメです！　私があなたとエアリスをどんなことをしても守ります！　あ、あなたとエアリスは私の宝なんです。なにがあっても放しません！
　あなた……わたし、いま、とっても幸せよ。あなたに会わなければ、わたし……。
　もう、いったい誰なんですか？　いいところで……我が家のくつろぎの時間にまったく……。
　くすくす……ええ、そうね。はーい、いますぐ！　誰かしらね？　あ、あなたたちは！
　クックックッ……捜しましたよ、イファルナ……いや、セトラ！　それから、本当に久しぶりですね、ガスト博士！
　宝条くん……どうしてここが？
　いやあ、骨を折りました。あなたたちがここにいることぐらい、とうにわかっていたんですよ。でもね……二年間待ちました。私は新しいサンプルが欲しかったんですよ……クックックッ。
　……新しいサンプル？　まさか、エアリスを!?
　ほう、エアリスちゃんですか？　いい名前だ……クックックッ。
　くっ……私は神羅とは手を切ったのだ。宝条くん、帰ってくれたまえ。
　お願い、エアリスは関係ないわ！　わたしさえいればいいんでしょ？
　イファルナ！
　私の実験にはあなたたちみんなが必要なんですよ。ガスト博士、わかってくれますよね。この星の運命を変えることができるんですよ！
　大丈夫だ、イファルナ！　私はこんなやつらには負けない！
　無駄な抵抗はしないでくださいよ。大事なサンプルに傷をつけたくないですからね。ん？　おかしなカメラがあるな。おい、壊してしまえ！　丁寧に運ぶんだぞ！　クックックッ……な、なにをするんだ、博士!?
　イファルナ！　エアリスを連れて逃げるんだ！
　きゃー、あなた〜！
　まあいい……子どもを忘れるんじゃないぞ！　ほう、ビデオか？　古代種……ウェポン？　クックックッ……宝の山だな！　ありがとう博士……クックックッ。