FF7 MEMORIES

　ほい、こんにちは、べっぴんさん。ここはミディール、のどかな温泉村じゃよ。わしらのような年寄りがのんびり暮らすにはうってつけの場所じゃて。どうも外ではなにやら大変なことになっとるらしいが、まだここは静かなもんじゃよ。
　ねえ、ちょっとあなた……いいこと教えてあげましょうか。見てしまったのよ、わたくし。あのドケチ女の子チョコボが、羽の下に緑色のきれいな石をしまいこむのを……ええ、あれは間違いなく、すごい宝石かなにかですわよ！　チョコボにはもったいないわ。［封印マテリア入手後：　まあ、あのチョコボから緑の石をもらったのね！　羨ましい］
　さあさあ、出血大サービス！　他じゃ絶対手に入らない最高の武器屋防具が勢ぞろい。早い者勝ちだよ、チクショー！　さ、お客さんも、そんなところで突っ立ってないで、なかへどうぞ！　どうぞ！　遠慮なんかいらないから。しかし、なんだってまた、こんなのんきな村なんかに店を出そうと思いついたんだろうね、うちの人は……？　はあ……。
　おや、見慣れない顔だね。外から来たのかい？　どうだい、むこうの様子は？　地震だのメテオだの……この世の終わりが来るってのはほんとなのかねえ。ああ……辛気臭い！　嫌な世のなかだよ、まったく……。

　なんでも、もうすぐあの巨大なお月さんが降ってくるっていうじゃない？　冗談じゃないわ！　とりあえず必要なものは買い溜めしとかなくっちゃ！　邪魔よ、あんたたち。ほら、どいた、どいた！

　へい、らっしゃい！　いつもにこにこ現金払い！　と行きたいとこなんだが……いやあ、そこのお客さんがみんな予約しちまったもんで、もうなにも残ってないんで……なんちゃってえ！　冗談ですよ、お客さん。さて、それじゃ、どんなご用で？　毎度ありいっ！　またどうぞ〜。

　いらっしゃいアルね。安らぎと憩いのショップね。と行きたいとこアルが……あいや、そこのお客さん、みな予約しちゃったんで、もうなにも残ってないよ、お店……というのは冗談アル。エヘヘ！　さて、それじゃ、どんなご用ね？　毎度あり、のことね！　また来てちょー、アルね。

　いらっしゃい！　愛と勇気の博愛ショップ！……と行きたいところなんですが……そこのお客さんがみんな予約しちまったんで……なにも残ってないんですよ……というのは冗談です。アハハハハ！　さて、それじゃ、どんなご用です？

　いつなんどき、空から大きな星が降ってくるかわからないんだって？　ほんとにほんとの話なのかい？　わたしにはまだ信じられないよ。なんでこんなことになってしまったのかしらねえ。
　古代ウェポン？　世界の終末？　そんなもん、知ったことか！　わしは百まで生きるのじゃ。やり残したことが山ほどあるんじゃぞ。まだまだ、これからじゃい。そもそも、神羅やソルジャー軍はなにをやっちょるのだ？　ああ？　ぶったるんどるわい！
　あたしゃ美人のメイドだけどね。アクセサリーの売り買いもしてるのさ。どこ出したって恥ずかしくない極上の品ばっかだよ。どうだい、ひとつ？　どうも、ありがとさん。また寄っておくれよ。

　あれれ……？　なにかしら、これ？　なにか……鍵みたいなものが奥に挟まってるけれど……ちょっと取りづらいわね。まあ、とりあえずいいか、べつに……。
　おう……なんだあ、これ？　なんか鍵みたいなもんが奥に挟まってやがるが、ちょっと取りづれえな。まあ、構わねえか。こんなもん……。

　ダメだわ……鍵がかかってるのかしら。
　ダメだな……鍵がかかってやがるのか？

　あら？　なにかしら？　古い鍵みたいなものが奥に挟まってるわ。［事前に鍵を調べている：　よし、なんとかして取れないかしら、これ。ここをこうずらして……そっちを、こう押して……オッケー！　外れたわ！］（ティファたちは、【絶対に、まったく、なんの役にも立ちそうにないボロボロの鍵】を拾った！）
　おう……なんだあ？　鍵みたいなもんが奥に挟まってやがるな。［事前に鍵を調べている：　おうし、なんとか……取ってやるぜ、こいつ！　ここを、こうずらして……そっちを、こう押してだな……おっしゃ！　外れたぜ！］（シドたちは、【絶対に、まったく、なんの役にも立ちそうにないボロボロの鍵】を拾った！）

　そうだ、あのボロボロの鍵……試してみようかな？
　ははあん、ここは一発、あのボロ鍵を試してみっか！

　ボロボロの鍵を使う！

　よし、これこれ。ん……あれ……？　きついな、これ……？　キャッ!?　あちゃー、いっけない！　折れちゃった……取れないよ、これ……。
　おう、これこれ。うん？　ありゃ……？　まわらねえな……おおっと……!?　ちい、やべえ……折れちまったよ……取れねえぞ、これ……。
　どうかしましたか……お客さん？
　ギクギクッ!?　え？　いえ、その……ど、どうしよう……？
　ギクッ！　おう、その、なんだ……やべえな、こりゃ……

　ごまかしちゃおうか！［ええい、ごまかしちめえ！］

　な、なんでもないんです！　ただ、素敵なドアだなあって。
　な、なんでもねえぜ。ハハッ、いや、いかしたドアだな、これ。
　アハッ、そうですか？　それはどうも。
　ホッ……助かった。でもちょっと、後味悪いな……折れた鍵がなかに詰まって取れないよ、これ……わ、私……知ーらないっと。
　ひゅう……助かったぜ。だが、ちょいとばっかし気が引けるな……折れた鍵がなかに詰まって取れねえぞ、こりゃ……し、知らねえかんな、オレは……。

　正直に謝ろう！［正直に謝っちめえ！］

　ご……ごめんなさい！　無理やり鍵をまわしたら、壊れちゃいました！
　むむ……すまねえ！　無理やり鍵をまわしたら、折れちまいやがった。
　え？　鍵って、そのドアの……？　アハハハ！　そいつはいいや！
　？？？
　鍵があかなくて当然ですよ。だって、そいつは壁に描かれたただの絵なんだから。
　えーっ!?　本物じゃないの、このドア？
　なんだって？　壁に描かれたドアだあ？
　どうです、そのドアを抜けて、どこか別の世界へ行けたら……そんな気持ちで描いたんですが、びっくりさせちゃいましたね。お詫びといっちゃなんだけど、これをさしあげますよ。
　え、ほんとに？　それじゃ……ありがとう！（ティファたちは呪いの指輪をもらってしまった！）
　おう、まあ……そんじゃ、ありがとうよ。（シドたちは呪いの指輪をもらってしまった！）
　できることなら、僕らはみんな、そこにあるような夢のドアを抜けて別の世界へ行ってみたいと願ってるんじゃないでしょうか？　なんだかあなたがたは僕の代わりにその願いを叶えてくれるような気がします。変ですね……。
　へえ……でもほんと、よく描けてるよねえ、これ。
　けっ、紛らわしいもの造りやがってよ。

　やっぱり、使わない

　やっぱりやめとこ。どうもこれじゃ合いそうにないし。
　やっぱやめとくか……どうもこいつじゃ合いそうにないしな。

「どうしたの、おまえ？　ひとりぼっちなの？　見失っちゃったのね、大切なだれかを……？　ばかだね……」
「……もう一週間にもなるかの。海岸に打ちあげられた……あのつんつん頭の若いの……」
「ああ、むごいこっちゃが……でも、ありゃどうも変だで……どでかい長剣握りしめて……なんや不吉な気がするんや。なんちゅうても、ほれ……あの不思議な青い目……」
「えっ!?　ちょ……ちょっと待ってください！　いま、なんて!?　すみません、いまの話の若い人って……もしかして……」
「ああ……この先の海岸で村の者が見つけたんじゃよ……もう一週間ほど前のことじゃ」
「うん、可哀相に……ありゃ、かなり遠くから流されてきたんやで……」
「クラウドだわ、間違いない！」

　ほんとか？
　やっぱり、ここに！
　ビンゴね！
　よっしゃ、大当たりや！
　うむ、見つけたな。
　へ、やったな、ティファ。

「それで、その人は!?　無事なんですか？　いま、どこに……？」
「ああ……この先の……ほれ、その治療所に……」
「生きてる……！　クラウドが……クラウドが生きてる！　クラウド……！」

「クラウド！」
「おやおや、そんなに慌てて。メテオでも降ってきたかね、お嬢さん？」
「すみません。どうやら、友人がこちらでお世話になってるらしいと聞いたもので」
「友人？　ああ……！　あの若者のことか？　安心なさい、きみの友人なら隣の部屋だよ。ただ、まだ具合が……」
「こちらですか？　失礼します！　クラウド……！　ああ……クラウド！　よかった、無事だったのね？……!?　クラウド？」
「う……ああ……」
「ど……どうしたの……クラウド……？」
「あ……ぐげ……？」
「クラウド！　どうしちゃったの……！？」
「魔晄中毒だよ……それも、かなりの重度、ね……どうも、この若者は強烈な魔晄エネルギーに長時間晒されたようだな。おそらく自分が誰なのか、自分がいま、どこにいるのかすら理解していないだろう……可哀相だが、きみの声も届いてはいまい……本当の彼は別の場所にいるんだ。誰も行ったことがないような遠い場所に……ひとりぼっちでね……」
「そんな……！」

　チクショー、なんてこった……。
　なんて、むごい……。
　嘘でしょ!?
　あんまりやなあ……。
　………。
　チ……ひでえ話だ。

「クラウド……」
「コホン！　私たちは、ちょっと席を外すとしようか。さあ、きみたちもいっしょに……外で待っていよう」
「どうして……？　どうして、こんなことに……！」

　………。

「お願い、クラウド……応えてよ……。ちゃんとわたしのこと見てるって、わたしの声が聞こえるって……言ってよ、ねえ……あなたとの思い出を信じたくてここまで来たのに……こんなのないよ……！　ひどすぎるよ……ああ、クラウド……！　わたし……」

　あ……？　おい、ティファ？
　待って！
　あん、ちょっとお。
　ちょっと待ってーや。