FF7 MEMORIES

リーダー

希望

　なあ、お医者の先生。本当のとこを聞かせてくれないか？　あいつは……クラウドはどうなんだ？　治る見込みはあるのかい？

　ねえ先生、クラウドは大丈夫なのかな？　ちゃんと治るの？

　ね、先生、クラウドはほんとにオッケーなの？　ちゃんと治るの？

　なあ先生。ほんまはどうなんです？　クラウドさんは、大丈夫なんですか？　ほんま、どないなっとるんやろ。

　なあ、先生さんよ。本当のところを教えてくれよ。クラウドのやつはどうなんだ？　ちゃんともとに戻るのか？

「繰り返すが、彼は重度の魔晄中毒だ。あそこまでひどいのは私も見たことがない……魔晄エネルギーにひそむ膨大な知識の量……それがいっぺんに彼の頭のなかに流れこんだんだろう……普通の人間には耐えきれるものじゃない……生きてるだけでも奇跡だ！」

　ライフストリームに落ちてここまれ流されてきたんじゃ……無理ないぜ、それも……。

　無理ないよ、生身でライフストリームにどっぷり浸かっちゃったんだから……。

　あたりきだよねえ。ライフストリームに頭から飛びこんじゃったんだもんね。

　しゃあないよな。ようさんライフストリームに浸かってしもたからなあ……。

　無理ねえかあ……ライフストリームに落ちて、ここまで流されてきたんじゃなあ。

「しかし、どんなところにも希望の光はある。諦めてはいけない。いいかい、きみたちが希望を捨ててしまったら……いったい、彼はどこへ帰ればいいというのかね？」

　……希望か……。でもよ、正直な話……オレはあいつに帰ってきてほしいと、ほんとに願ってるんだろうか？　やつがこの世界になにをした？　この先、俺たちになにをもたらす？　セフィロスの影でしかないのかもしれねえんだぞ……。

　どうかしたかね？

　いや……なんでもねえよ。

　うん、きっとよくなるよね！　強いソルジャーだもの、クラウド。

　そうだよね。アタシたちがついてんだもん。きっと元気になるよね！

　ほんま、そうや。クラウドさん、元気になるわ！　ほんまに……こないに心配してくれはるお友達がようさんおるんや。おちおち寝とられへんて。

　……希望か……確かにいま、オレたちに残されてるのは、そいつだけかもしれねえなあ……。

＜　ティファが出てくる　＞

「………」

　もういいのか？

　大丈夫、ティファ？

　大丈夫なんですか？

　大丈夫か？

「ええ……心配かけてごめんなさい。それで……ちょっとみんなに話があるんだけど……」

診療所

「話っていうのは、ほかでもない、クラウドのことなんだけど……わたし……彼のそばにいてあげたいの……」

　ああ、そうしてやるのがいちばんかもしれんな……クラウドにとっても、おまえにとっても……。

　うん、それがいいよ！

　やっぱそうこなくちゃ。自分に正直に生きなきゃ、ね。

　ティファさんが看病してくれるんやったら、クラウドさんと代わってほしいくらいですわ。

　好きにするがいい。

　ああ、わかってるって。なにも言うねえ。

「ごめんね、みんな……こんなときに……」

　謝るやつがあるかよ。オレたちも、また様子を見に寄るよ。

　いいんだよ、そんなこと。オイラたちも、また寄るからさ。

　気にしない、気にしない、アタイらも顔見せるからさ。

　気にするな。私たちもたまに様子を見に寄る。

　頑張れよ、ティファ。クラウドのことは任せたぜ。

　頑張って、ティファ。クラウドのことは頼んだよ。

　クラウドのこと、頼んだね、頑張るんだよ、ティファ。

　クラウドさん、はよ、ようなるとええのにな。

　頑張りな、ティファ。クラウドのことは頼んだぜ。

「うん……」

　それとな、ティファ……こんなことは言いたかねえんだが……。やつは確かに、おまえの幼なじみのクラウドに間違いないのか？　セフィロスの影なんかじゃなく。

　え!?　それは……たぶん……ううん、きっと！

　そうか……ならいいんだ……変なこと、聞いちまったな。

　よし、それじゃオレたちはハイウィンドに戻るぜ。

　よし、それじゃ、オイラたちはハイウィンドに戻ろう。

　よし、それじゃ、アタシたちはハイウィンドに戻ろうよ！

　……それでは、私たちはハイウィンドに戻るぞ。

リーダー

「さーて、どうするよ！　オレたちにできることはなんだ？　んーっ？　なんかねえのか？」
「あの～、情報あるんですけど」
「おう！　逆スパイか？」
「はあ……もうひらきなおりましたわ。ガハハハとキャハハのふたりが、なんややらかすようです。盗み聞きでもしましょか」

「さて……我々はふたつの課題を抱えている。１、メテオの破壊。２、北の大空洞のバリアを取りのぞき、セフィロスを斃す――なにか作戦は？」
「ガハハハハハ！　すでに最初の課題はクリアも同然！　メテオはまもなく木っ端微塵ですな！　そのための作戦はすでに実行に移しておるのです。それは、各地のヒュージマテリアの回収なのです」
「ほう……」
「ヒュージマテリアは魔晄炉内で圧縮されて生成される高度に集積された特別なマテリア。そこから引き出されるエネルギーは通常のマテリアの330兆倍！　キャハハハ！　すごいでしょ！　そのヒュージマテリアを一同に集めてメテオにぶつけるの。そりゃあ、もう大爆発！　メテオなんか文字どおり打ち砕いちゃうってわけよ」
「メテオにぶつける？　我々の技術で可能なのか？」
「それはご心配なく！　それよりも、まずは各地のヒュージマテリアを回収すること！」
「すでにニブルヘイムは回収終了。残るは、コレルとコンドルフォート。コレルにはすでに軍隊を向かわせております。ガハハハハハ！」

「コレルだと～！　これ以上、コレルをどうしようってんだ！」
「それに、ヒュージマテリア……大きなマテリアのことでしょ？　オイラ、聞いたことがあるんだ。えっと、オイラたちの小さなマテリアを大きなマテリアに近づけるとなにか起こるはずだよ、きっと。だから、オイラたちがマテリアの力を借りて戦いつづけるのなら……」
「ヒュージマテリアを神羅に渡すわけにはいかねえ！　それによ、クラウドが帰ってきたら、ヒュージマテリア見せてよ、びっくりさせてやろうぜ」
「なあーんや、バレットさん、なんやかんや言うても、クラウドさんが帰ってきはったらええなと思ってはるんや」
「いいじゃねえか、そんなことはよ。それより、なんだ……団体行動にはリーダーが必要だ。リーダーはオレだ！　そう言いてえところだが、オレはリーダーに向いてねえ。最近気づいたんだけどよ。んなわけでよ……」

＜　寝ているシドに注目が集まる　＞

「ＺＺＺＺＺＺＺＺ……ＺＺＺＺ……？　おっ!?　な、なんでい！」
「あんたがリーダーに決まった」
「そんな面倒なことは嫌だぜ」
「これからの戦いにはあんたと、あんたのこの飛空艇ハイウィンドが必要なんだ。これは星を救う船なんだぜ？　その大切な船を仕切ってるのは誰だ？　あんただろ？　だから、オレたちのリーダーは、シド、あんたしか考えられねえ」
「へ……星を救う船か……ちょっと熱いじゃねえか。いまのはハートにずんときたぜ。オレ様も男だ！　やったろうじゃねえか！　オレ様についてきやがれ！」
「というわけで、最初の仕事だ。オペレーションルームがあんたを待ってるぜ！」
「おう！」

　リーダーさんよ！　急いでくれ！

　ね、シド、ときどきクラウドとティファに会いにいこうね。

　ええと、ヒュージマテリアは、コレル、コンドルフォート……ほかにもあったような気がしますけど、どこやったかなあ……。

　シド……あんたのその熱さが羨ましいよ。私の心は長い眠りのうちに溶けてなくなってしまったようだからな……。