FF7 MEMORIES

　あのぼろロケットを打ちあげるって、神羅のやつら、本気なのかね？　なにをいまさら……。
　ルーファウスの若社長、メカニックたちを集めてどーするつもりなんだろ？
　なんか、神羅の人間がぎょーさんやって来て、ロケットをいじりまわしちょるが……わしのロケット……大丈夫かの？

　なにか飲んでいかれますか？

　話を聞かせてくれ

神羅のパルマーさんが兵を引き連れて、ロケットを整備しているようですが……。

　おっ、シド！　ついに究極の洒落を考えついたんだ！　ぜひ聞いてくれよ。
　おまえの駄洒落は聞き飽きたが、仕方ないから聞いてやる。ほれ、言ってみろ。
　ええと、なんだったっけな……「みんな、のたうちまわってるど」じゃなくて、「神羅のタークスのルード」ってやつが来てるぜ。
　……??
　で？
　「ルーファウスの若社長は目が三つ」じゃなくて、「ルーファウスの若社長はメカニックを集めて」「あんたのブランケットにまったりとしたハム」じゃなくて、「あんたのボロロケットにマテリアボム」を積んで、打ちあげるつもりらしいぜ。
　（お、恐るべきギャグセンス……）
　（センス以前の問題さ……）
　久しぶりにおめえのくだらねえ駄洒落も懐かしいと思ったが……。
　いやいや、そんな丁重（艇長）に褒めるなよ〜。
　やっぱむかつくぜ！
　ひ、ひどい……。
　けっ！　おめえがつまらねえこと言うからだ。いらん邪魔が入ったが……ルーファウスのボンボン野郎がオレ様のロケットを使ってなにかやらかすつもりらしいな。ロケットの発射台のほうに行ってみるとすっか！

　ぐう……ナイスキック。

　ん〜、スペクタクル！
　なにが始まるのかしら？　わくわくしちゃう。

「テロリストが来たぞ！」

「ここより一歩も進ませるな！　全員突撃い〜！」

「ぬう、行かせはせん！　行かせはせんよ！」

　ちくしょう、あいつら！　オレ様のロケットになにしやがる気だ！　行くぜ、クラウド！　神羅のクソッタレ野郎どもをオレ様のロケットから叩き出してやる！［パーティにいないとき：　待ってくれ、クラウド！　オレ様のロケットから神羅のクソッタレ野郎どもを叩き出すんだろ？　オレも連れてってくれ！　よっしゃ！　神羅どもに目にもの見せてやろうぜ！］

　ん〜、ハードアクション〜。
　なになに？　あなたたち、テロリストなの？　わくわくしちゃう。
　クラウド、なにしてる！　ロケットが発射されちまうぞ！

「……おまえたちか。……神羅の計画を邪魔する者は排除する」

「……やられた」

　……踏むな。

「お、おまえたち!?　なぜここに!?　タークスのルードがいたはずだ！」
「残念だったな。やつなら、そこで倒れてるぜ」
「く〜っ、あのタークスがあっさりやられるなんて……しかし、ここは通さんぞ！」

「ぐぅ……」

「おい、てめえら、なにしてるんだ!?」
「おお！　騒がしいと思ったら、艇長、帰ってきたのか！」
「聞いてくれよ、艇長、ロケットを飛ばせるんだぜ！」
「あん？　いったいなんの話だ？」
「このロケットにマテリア爆弾を積んでメテオにぶつけて破壊しちまうんだ」
「俺たちのロケットが、この星を救うんだぜ！」
「うう〜、興奮するぜー！」
「ちょっと待ってくれ」
「うるせえぞ！　おめえは黙ってろい！　ロケットの調子はどうなんだ？」
「だいたいOKだ。でも……ロケットをオートパイロット装置でメテオにぶつける計画なのに、肝心の装置が壊れてるんだよ」
「壊れている、だあ？　修理はどうなっている」
「シエラがやってるけど……」
「ケッ！　おめでたいやつらだな！　あの女に任せてた日にゃ、百年たっても終わんねえぜ！　こいつはオレ様が動かしてやるから、オートパイロット装置なんて放っとけ！　ほれ、ほれ！　みんなに伝えてこい！」
「わかったよ、艇長。あとはよろしく頼んだよ」
「おい、シド！　どういうつもりだ？　マテリアのなかには古代からの知識、知恵が封じこまれているんだ。俺たちはその力を借りてセフィロスの手からこの星を救う。ヒュージマテリアを失うわけにはいかないんだ。それはわかっているはずだろ？」
「おお、わかってるぜ。マテリアが大切なものだってのも、おまえさんの考えもよ！　でもな、聞けよ。オレ様はよ、科学の力だろうが、魔法の力だろうが、そんなこたあどっちでもいいんだ。いや、オレ様はどっちかってえと、科学の力に賭けてみてえ。地べたを這いずりまわってた人間が空を飛べるようになったんだぜ！　そして、ついには宇宙まで行こうってんだ。科学は人間がみずからの手で生み出し、育てあげた【力】だ。その科学がこの星を救うかもしれねえ。科学のおかげでメシを食ってきたオレ様にとってはよ、これほど素晴らしいことはねえぜ！　いつまでも神羅がどうのこうのこだわってるんじゃねえ！　オレ様はな、あとから、ああ、やっとけばよかったなんて考えたくはねえんだよ」
「しかし、シド……」
「黙れ！　しかしもかかしもねえ！　さあ、ここはオレ様の仕事場だ！　関係ねえおまえたちは、とっとと出ていきやがれ！」

「な、なんだあ？　なにが起こった？」
『うひょっ！』
「パルマー！　てめえ、なにしやがった？」
『オートパイロット装置修理完了だってさ。だから、打ちあげだよーん』
「くっ！　シエラのやつ、今日に限って早い仕事かよっ！　クソったれ！　びくともしねえ！　完全にロックされちまってるぜ」
『うひょひょっ！　もうすぐ発射だよーん』
「ケッ！　秒読みはどうした？　気分が出ねえぞ！」
「うひょ〜！　うひょひょ！　発射だぴょーん！」

「ついに来たぜ……宇宙によ……さてと、こいつの航路はどうなっているのかな……っと。やっぱり、メテオに向かうコースを採っているな」

　おい、なんとかならねえのか？　このままじゃ、やばいぜ。
　ねえ、なんとかならないの？　このままじゃ、わたしたち……。
　どうしよう？　オイラたち、死んじゃうのかな。
　ちょいと、シドのおっさん！　なんとかしてよ！　アタシ、こんな情けない死にかたはぜーったいやだかんね！
　どうないしょ！　どないしょ！　ボクは玩具やからどうでもええけど、みなさんはそうもいかへんし……。
　宇宙に出てしまったな。万事休す、か。

「ケッ、パルマーのやつ、ご丁寧にもオートパイロット装置をロックしてやがる。こいつの航路は変えられそうもねえな」
「……終わりか」
「あん？　なに言ってるんだ？　若いってのによお、簡単に諦めすぎじゃねえのか？　オレ様はよ、はなっからメテオなんかと心中するつもりはないぜ。見てみな。こんなときのために、こいつには脱出ポッドが積んであるのさ。脱出ポッドのロックを解除したぜ。メテオとぶつかるまでにとっととおさらばしようぜ」

　おい、ちょっと待ってくれよ！　ヒュージマテリアはどうなるんだ？
　ねえ、ヒュージマテリアはどうするの？
　ところで、ヒュージマテリアはどうするのさ？　諦めちゃうの？
　ん？　ヒュージマテリアはどうするのさ？　いらないのなら、あたしがもらっちゃおーかなあ。
　ところで、ヒュージマテリアはどないするんですか？
　ならば、残る問題はヒュージマテリアをどうするかだな。

「……マテリアが欲しいんだったら、勝手になんとかしろい！　マテリアなら、そっちの梯子をのぼっていった先にあるはずだぜ」
「いいのか？」
「わからねえ。さっきはあんなこと言ったけどよ。オレ様はこいつと宇宙まで行きたかった、それだけなのかもしれねえ。だから、おまえたちも、おまえたちが考えてるように行動すればいいんじゃねえか？」

　おい、クラウド。マテリアを取りに行くんならこっちだぜ。

「ヒュージマテリア……やっと見つけたぞ」
「このコンソールパネルからパスコードを入力すれば、ロック解除される仕組みになってるぜ」

「おい、クラウド、こいつの使いかたは知っているだろうな。パスコードを入力せよと言われるたびに、そこんとこにある○×△□のボタンのどれかひとつを押せばいいのさ。正しいパスコードを打ちこめば、ロックが外れてヒュージマテリアを回収できるぜ」
「で、どういう順番で打ちこんでやればいいんだ？」
「知らねえ。適当に打ちこんでみればいいんじゃないか」

　ミスっちまったようだな！　プロテクトシステムが作動する前に、正しいパスコードを入力しないと、マテリアを取り戻せないぜ！

　○は一回しか押さなかったような気がするんだが……。>
二回押すキーがあったような記憶あがるんだが……。
二番めのコードは×じゃなかったと思うんだが……。
三番めのコードは×だった……ような気がする。
△って、使ったかな？　確か使わなかったような……。
最初のコードは□じゃなかったと思うんだが……。
二番めのコードは△じゃなかった。こいつは間違いない！
確か最後のコードは△だったと思うぞ。いや、×だったかな……。
うーん、思い出せねえ。もちっと時間をくれ〜！

　１回めで成功
　おっ、すげえな！　一発でパスコードを探り当てやがった！　おまえさん、じつは知ってたんじゃないのか？

　２回め以降で成功
　やったぜ、クラウド！　ロックが外れたぞ。やっぱ、オレ様のすんばらしいアドバイスがものを言ったな。

失敗
　あちゃ〜、プロテクトシステムが作動しちまったぜ……クラウド、残念だが諦めるしかねえぜ。

「ぐ……っ！　ちくしょう！　足が破片に挟まれちまった……！」
「シド！」

　クソッ！　持ちあげられねえぜ！
　……だめっ！　重くて、持ちあげられない……。
　オ、オイラの力じゃどうしようもないよ……！
　ア、アタシの力じゃ持ちあがんないよ！
　ど、どないしよ〜、持ちあがらへん。
　……ダメだ、持ちあがらない。

「オレ様に構うな。早く行け！　急がないとロケットがメテオにぶつかっちまうぜ！」
「……仲間を見捨てていけるわけがない」
「この馬鹿野郎……人のことを心配してる場合じゃねえだろうが！」
「やるだけはやってみるさ」
「おまえは馬鹿だぜ。ほんとの馬鹿だ。爆発したのは八番ボンベ……八番ボンベねえ……やっぱりイカレてやがったのか……シエラ……確かにおまえが正しかったぜ。でもよ……オレ様もこれで終わりだあ」
「なに言ってるのよ、シド」
「あん？　シエラ！？」
「ついて来ちゃった。いま助けるから」
「馬鹿野郎のこんこんちき！……すまねえ」

「脱出ポッドはこちらです」
「急いでください。急いで。脱出ぽどを切り離すわよ」
「おい、シエラ！　このへっぽこポッドは動くのか？」
「大丈夫。ついさっきまでわたしがチェックしていたから」
「……それなら安心だぜ」
「……ありがとう」

「これが……宇宙……はあ……本物の宇宙だぜ……本当に来たんだな……神羅26号……あばよ……」