FF7 MEMORIES

「ホーホーホウ、わしの知識が必要になったら、いつでも歓迎じゃ」
「ああ、だから来たんだ」
「どうしたらよいか……道を見失ったか？　そういうときはおのおの自分を静かに見つめるのじゃ。なにか忘れているものが……なにか心の奥にひっかかっているものがあるはずじゃ。それを思い出せ……きっとそれがあんたたちの探しているものじゃ……」
「そんなこと言われても……思い出せない」
「きっとあるはずじゃ。よく心を見ろ！」

　ダメだ、オレたちだけじゃ！　クラウド、ほかの連中にも来てもらおうぜ。
　……ダメ。ねえ、クラウド、みんなにも来てもらいましょう。
　ん〜……ダメだ、オイラたちだけじゃ。みんなに来てもらおうよ。
　クラウドさん、どうやろ、みなさんに来てもらうってのは？
　どうかな、クラウド、ここは全員来てもらったほうがいいと思うが……。
　あ〜、ダメだダメだ！　クラウド、ほかのやつらも呼んでみろよ。

「どうじゃ、探しものは見えてきたかの？」
「いやあ〜、さっぱりですわ」

　アタシも！　全然わかんない！

「おれは……エアリスのことを思い出してた。いや……そうじゃない。思い出したんじゃない。忘れていたんじゃない。そんなのじゃなくて……なんていうか……エアリスは、そこにいたんだ。いつも、おれたちのそばに。あまりに近すぎて見えなかった。エアリスのしたこと……エアリスの残した言葉……」
「そういえば……わたしも……そうだった」
「……オイラも」
「オレもさ……」
「セフィロスのメテオを止めることができるのは、自分だけだと言っていた」
「……でも、エアリスはもういない」
「エアリスがやろうとしたこと……オイラたちには無理なのかな？」
「オレたちゃ古代種じゃねえからな。だいたい、なんだってあの姉ちゃんは、あんな場所へ行ったんだ？」
「そうだ！」
「な、なんでい」
「おれたちはそんなことも知らないんだ。エアリスはなにをしていたんだ？　なぜ、逃げもせずにセフィロスに……」
「そうか……あの場所にもう一度、だね？」
「ホーホーホウ、わしも乗せていってもらおうかのう」
「じじ、じっちゃんも!?」
「なにもそんなに驚かんでもいいじゃろ……わしだってたまには外の世界に出てみたいんじゃ。なぜかのう、こんな気持ちになったのは久しぶりじゃ……」
「きっと星がさ、星がじっちゃんを呼んでるんだよ！」
「へっ、星が呼んでるねえ」
「ホーホーホウ、さあ、行こうかの」

　そうだ、ブーゲンハーゲン、もうひとつ頼みがある。おれたちの手もとにヒュージマテリアってのがあるんだ。デリケートなものだから、どこか静かな場所に……。
　ホーホーホウ、それなら、この上がいいじゃろ。どれ、さっそく行ってみるか。機械の動かしかたを教えるから、ようく見ておくんじゃぞ。ここをこうすると……。

　ホーホーホウ、これがそのヒュージマテリアか……これはまた珍しいマテリアじゃの。これほどのマテリアなら、なにか特別な知識を秘めているかもしれんのう。
　ヒュージマテリア……確かに不思議な輝きだ……。

　もっと近くで……

ヒュージマテリアは優しい輝きを放っている……この色……魔法マテリアと同じ色だ……。
ヒュージマテリアは静かな輝きを放っている……この色……コマンドマテリアと同じ色だ……。
ヒュージマテリアは燃えるような輝きを放っている……この色……召喚マテリアを同じ色だ……。
ヒュージマテリアは冷たい輝きを放っている……。［バハムート＆バハムート改を所持：　いまのは……バハムート？］

　そっとしておくか
　下に戻ろう

　ホーホーホウ、よしよし、それじゃ出発するとしよう。下の機械の使いかたは覚えたな？　マテリアが見たくなったら、またいつでも来るといい。

「ホーホーホウ……機械の匂いじゃな。わしはこの匂いが好きじゃ。もちろん自然の匂いも好きなんじゃが……ん？　上は甲板かな？　では、わしは甲板で時を過ごさせてもらおうか。風の匂いに星の営みを感じ、機械の匂いに人間の知恵と知識の素晴らしさを感じる……ホーホーホウ、じゃな」

　ホーホーホウ、どこへ連れていってくれるのかな？

　クラウド……はあ……ウップ。アタシ、考えたんだけどさ……ふう……どうして、マテリアには魔法とか戦いの知識ばっかりなんだろうってさ。きっと、古代種ってのは戦ってばかりいたんだよ、きっと。大変……ウップ……だったんだろうね。

　エアリス……死んじまったんだよな。精神エネルギーになって星をめぐる……かあ？　だとしてもよ、やっぱりよ、会えるわけじゃねえからな……。

　エアリス……どんな気持ちであの祭壇にいたのかしら……。
　きっと、命を賭けてこの星を……。
　そうかな？　そうなのかな？　私は違うと思うの。きっと死ぬことなんか考えてなくて、ちゃんと帰ってくるつもりだったんじゃないのかな？　だって、エアリス、よく言ってたもの。また、この次は、今度は……エアリス、ほかの誰よりも明日のこと話してた……。わたしたちには言わなかったけど、きっと大変な人生だったから……エアリスは、「明日」……「未来」……誰よりも楽しみにしてたと思う……たくさん、たくさん、夢があったんだと思う……。

　エアリスはね、ときどきオイラの鼻を撫でてくれたんだ。子ども扱いされて悔しかったけど、でも、ついつい喜んじゃうんだ。初めて会ったときのこと、謝りたかったな……。
　エアリスさん、亡くなってしもたこと、お母さんに伝えたんです。エルミナさん、ずっと泣いてはりました……マリンちゃんも……。
　古代種の都……古代種……我々も遥かな時を経てのち、そう呼ばれる日が来るかもしれない……フッ……フハハハ……我々次第というわけだ。
　エアリスか……オレ様のハイウィンドに、いっぺん乗せてやりたかったぜ……。

　さあ、行きましょう（行きましょう！／待ってください……）

　ナナキもブーゲンハーゲンさまもいないです……あたし寂しいです……。

　ブーゲンハーゲンさまのこと、どうかよろしく。あまり無理はさせないように。「ホーホーホウ」なんてふわふわしてても、ナナキのように若くはないからして……おっと、そんなこと言ってると怒られるかの。わしも似たようなもんだしの、ホッホッホ。

　忘らるる都でメモを見ている
　これがそうなのか……。
『……分析結果……取得物の生成年代は特定不能……数千年前のものと判別……』
　古代種の鍵……。

　忘らるる都でメモを見ていない
　どこかの鍵みたいだ……恐ろしく古いな。
『……分析結果……取得物の生成年代は特定不能……数千年前のものと判別……』
　数千年……古代種？

「ここは……おお……確かに……」
「なにかわかりそうなのか？」
「……ちと時間をくれんか？」

「この部屋に渦巻いている古代種の意識はたったひとつのことを訴えているのじゃ。星の危機……もう人の力でも終わりのない時間の力でもどうしようもないほどの星の危機。そんなときが訪れたらホーリーを求めよ、とな」
「ホーリー？」
「究極の白魔法ホーリー……メテオと対をなす魔法じゃ。メテオから星を救い出す最後の望み。ホーリーを求める心が星に届けばそれは現われる。ホーホーホウ。メテオもウェポンもすべて消えてなくなるじゃろう。もしかしたら、わしらもな」
「俺たちも？」
「それは星が決めることじゃ。星にとってなにがよいのか。星にとってなにが悪いのか。悪しきものは消えてなくなる。それだけのことじゃ。ホーホ−ホウ。わしら人間は、どっちかのう」
「ホーリーを求める……それはどうやるんだ？」
「星に語りかけるのじゃ。白マテリアを身に着け……これが星と人とを繋ぐのじゃな。そして星に語りかけるのじゃ。願いは星に届くと、白マテリアがあわーいグリーンに輝くらしいのじゃ」
「……終わりだ。白マテリアはエアリスが持っていた……でも……エアリスが死んでしまったときに祭壇から落ちて……だから……終わりだ」
「ホーホーホウ！　ホーホーホウ！　ホーホーホウ！　これを見るのじゃ！」
「!?」
「古代文字じゃ」
「読めるのか？」
「まったく読めん！」
「こんなときに冗談は……」
「わしは古代種じゃない。こんなもん、読めんわい！　でもな、こんな老いぼれでも目は悪くなっておらん。よーく、その文字の下を見てみろい」

　鍵を入手していない
　チョークでメモが書きなぐってある……【日の光も届かぬ】……【鍵】……。
　きっと、ここを発見した学者が、解読を試みた跡じゃ……たったふたつの単語を解読して、力尽きたのじゃろう。
　鍵……？　なんのための？
　わからん……しかし、きっとここの謎を解くためのなにかなんじゃろう。謎……それはやはり、エアリスに関係したことかもしれんのう。
　そのメモは鍵のある場所を示しているんだな？
　たぶん……さあ、その言葉をヒントに鍵を探してこい。わしはここで古代文字の解読を続けよう。
　【日の光も届かぬ】場所に【鍵】があるんだな？
　鍵が見つかったとき、あるいはどうしても行き詰まったときは、ここに戻ってこい。解読が進み、新しい事実が判明しているかもしれんからのう。【日の光も届かぬ】場所に【鍵】がある……忘れるんじゃないぞ。

　日の光も届かぬ……うーん、地上にいる限りは、日の光はどこにでも届くのに……地上じゃない？？

　日の光の届かないところ……そうか、海の底か！
　海の底？　それは……無茶だ……潜水艦でもない限り……待てよ、潜水艦……【ジュノンの港】に確か……。

　どうするよ、クラウド、いい考え、ないのか？
　クラウド……。
　オイラがもっと大人だったら……なにかいい考えが浮かぶのかな？　はう……大人になりたいなあ。この旅が終わったら大人になれるかな……。
　最近、ボク……会議に呼ばれへんのです。スパイしてんの、バレバレですから。
　……心だけではどうにもならない……もどかしいな、クラウド。
　はあ……クラウドよう、どうすんだ？
　クラウド……煮詰まってんの？　空なんか……飛んでるからダメなんだよ。あ、いま、アタシを潜水艦に押しこもうって思った？　それはやめて！　行くんなら、アタシ、連れてかないで……うう、なに言ってるんだ、アタシ……。

　おお！　見つけたか！

　鍵を入手している
　チョークでメモが書きなぐってある……【鍵を】……【オルゴールに】……。
　きっと、ここを発見した学者が、解読を試みた跡じゃ……たったふたつの単語を解読して力尽きたのじゃろう。
　鍵……？　なんのための？
　わからん……しかし、きっとここの謎を解くためのなにかなんじゃろう。謎……それはやはり、エアリスに関係したことかもしれんのう。
　どういうことなんだ？

「あそこにあるのが、オルゴールじゃよ。あそこで鍵を使うんじゃ。わしが鍵を差してこよう。おまえたちはここにいるんじゃ。そして、なにが起こるのかをしかと見ておくんじゃ。ホーホーホウ！」

「さあ、なかに入るのじゃ。そこにあるのは希望か……それとも……」

「ここはイメージを投影するスクリーンだったのじゃ！　見てみい！　水のスクリーンに映ったイメージを！」

「……輝いている」
「ホーホーホウ！　あわーいグリーンじゃ！」
「……エアリス。エアリスはすでにホーリーを唱えていたんだ……俺がセフィロスに黒マテリアを渡してしまったあと……夢のなかのエアリスの言葉……セフィロスを止めることができるのはわたしだけ……その方法が、秘密ががここにある……そう言ってたんだ。それがホーリー……自分が持っている白マテリアの意味。白マテリアを自分が持っている意味。自分がすべきこと……エアリスはここで知った。エアリスは俺たちに大きな希望を残してくれた。けれども、それはエアリスの命……エアリス自身の未来と引き換えに……ごめんよ……エアリス。もっと早く気づいてあげられなくて……ひとことも言葉を交わすことなく、俺たちの前からいなくなってしまったから……突然だったから、俺はなにも考えられなくて……だから気づくのが遅れてしまった……でもエアリス……おれ、わかったよ。エアリス……あとは俺がなんとかする」

　お・れ・た・ち・って言えよ！
　お・れ・た・ち・でしょ……。
　お・れ・た・ち・だよ。
　おれやのうて、お・れ・た・ち・やろ？
　おれ？……お・れ・た・ち・じゃないのか？
　クソッタレい！　お・れ・た・ち！　っだろ？　おれたち！

　エアリスがオレたちに残してくれたもの……無駄にはできねえぜ。
　エアリスがわたしたちに残していってくれたもの……無駄にしちゃ、いけないね。
　せっかく残してくれた希望……それに賭けてみなきゃねっ！
　エアリスさんが残してくれたもん……無駄にしたらあかん。
　大切な人が残してくれた希望……それを育むのが、私たちにできるせいいっぱいのこと……。
　あの花売りの姉ちゃんが置いていったでっけえプレゼント……封を解いてやんねえと悲しむぜい！

「ありがとう……エアリス。エアリスの声は星に届いていた。それは白マテリアの輝きを見ても明らかだ……でも……ホーリーは？　どうしてホーリーは動き出さない？　なぜだ？」
「邪魔しとるもんがいるんじゃよ」
「……あいつか……あいつしか考えられないな。……セフィロス、どこにいるんだ？」