FF7 MEMORIES

「なんだ？」
「ヒソヒソ……。（すんません、ちょっとびっくりしたもんですから）」
「どうした？」
「ジュノンのキャノンがのうなったの憶えてますか？　あれ、じつはルーファウスが運んだんです」
「運んだって？　あんなでかいものを……？　どこに……？　なぜ？」
「ルーファウスはあれで、セフィロスを斃すつもりなんですわ。あの大砲はヒュージマテリアの力で動いてます。でも、ヒュージマテリアはロケット作戦でつこてしもたから。もうあの大砲はあのままやと使いものにならんのですな。せやから移動させたんです。マテリアの……いや、魔晄の力が最大限に集中できる場所に……」
「それで、それはどこなんだ？」

「……というわけで、リーブ君、魔晄炉の出力調整はきみの仕事だ」
「はあ……」
「キャハハハハハ！　調整なんていいわよ、リーブ。出力全開でがーーーーっと行くのよ！」
「ガハハハハハ！　それにしても、さすが社長！　セフィロスを斃せばメテオも消えるとは、目のつけどころが違いますな！」
「社長、忘れないでおいてね。ミッドガルの魔晄炉の力で砲弾を飛ばすのはわたしのアイディアなんだから」
「魔晄キャノンの砲弾は本当に北の果てまで届くのだろうな」
「キャハハハハ！　もっちろん！　でも社長、魔晄キャノンなんて呼ばないで。この新兵器の名前は……シスター・レイよっ！」

「……？　な、なんだ？」

「どうしたい？」
「怪電波です！」
「どっからだ？」
「この……人（？）から出てます」

「おっ！　のわっ！　ちょっと驚いてコントロールが乱れてしまいました。しもたなあ〜……ウェポンが海から出てきてミッドガルに来よるんです」
「新兵器でなんとかなるんだろ？」
「準備が間に合うかどうか……」
「おい！　マリンはどうなるんだ？」
「マリンちゃんは、安全な場所にいますわ。エアリスさんのお母さんもいっしょです」
「………」
「バレットさん！　なんですか、いまの『ぽりぽり』ってのは！　マリンちゃんが安全やったらあとはどうなってもええんですか？　前からあんたには言いたいと思とったんですわ！　ミッドガルの壱番魔晄炉が爆発したとき、何人死んだと思ってますのや？」
「……星の命のためだったんだ。多少の犠牲は仕方なかった」
「多少？　多少ってなんやねんな？　あんたにとっては多少でも、死んだ人にとっては、それが全部なんやで……星の命を守る。はん！　確かに聞こえはいいですな！　そんなもん、誰も反対しませんわ。せやからって、なにしてもええんですか？」
「神羅のやつに、どうこう言われたかねえ……」
「……どうせ、ボクは……」
「やめろよ」
「ケット・シー……バレットはもう、わかってる。わたしたちがミッドガルでやったことは、どんな理由があっても決して許されない。そうでしょ？　わたしたち、忘れたことないわよね？　あなたのことだってわかるわ。あなたが会社を辞めないのはミッドガルの人たちが心配だからよね？……クラウド？」
「よし、行くぞ！　俺たちの手でウェポンを斃してやる！」
「クラウドよう……あんな化物に勝てるのか？　少しは勝ち目ってのがあるんだろうな？」
「そんなことはわからない！　しかし、だからといって放ってはおけない！　【ミッドガル】へ行って、ウェポンと戦うんだ！　さあ、行くぞ！」

　ウェポンかよ……でけえよな……いくらミッドガルだって、危ねえだろうな。
　好きとか嫌いとか……気持ちとは関係なく、ミッドガルから離れられないわね。
　ミッドガルか……宝条に捕まって連れてかれて、いろいろ実験されて悔しかったな……でも、そのおかげで、みんなと会えたんだよね……いろんな人と出会ったり、出会わなかったり……不思議だね。
　クラウドさん、ほんま頼みます！　神羅は許せんかもしれんけど、ミッドガルの人たちにはなんの罪もないんや！
　……なかなかセフィロスには近づけないな……。
　そういや昔、試作ロケットが一機、ミッドガルのスラム街だかに落ちたんだよな。爆発しなかったって聞いて、ほっとしたの憶えてるぜ。

　クラウドさん！　行きますよ！（お願いします！　すいません、待ってください）

　ホーホーホウ、旅はいいものじゃのう……。

　お、おい！　ハイウィンドを壊す気か？　地上で迎え撃とうぜ！

　どうした？　怪物さんよ？　どこ向いてるんだ？
　ど、どうしたの？　まるで、なにかを求めているみたいに……。
　なんか、様子、変だ……。
　どないなっとるんや？
　私たちは相手にしていないようだ。なにか別の……。
　どうしたんだ？　オレ様たちにゃ興味なしって感じだぜ！

「いや、なにかを……感じてるんだ……そう、殺気を感じている」

　ハイウィンドに戻ろうぜ！
　飛空艇に行きましょう！
　さっさと逃げちゃお！
　飛空艇に戻りましょ。
　ここは船に戻ったほうがいい。
　オレ様の船へ！

「やばい！　はようここを離れるんや！　でっかいのが……でぇぇぇっかいのが来るで！」

「ガハハハハ！　社長、シスター・レイの準備が整いました」
「キャハハハハ！　いつでもいいわよ」
「……やれ」

「どこに向かって撃ってるの？」
「ミッドガルだ！」
「マリーーーン！」

「……すげえ」
「ウェポンを突き抜けた……」
「そうか！　狙いはセフィロス！　北の果てのクレーターだ！」

「報告です！　ウェポン斃れました！　クレーター、バリアも消えました！」
「報告です！　高密度エネルギーがミッドガルに向かってきます！」

「うわー、ウェポンの攻撃だ！」
「逃げろ！」

「セフィロス……どうなったんだ？　大空洞……あの場所がどうなったか見にいこう」

　最初はよ、ビラ貼りだったぜ。アバランチの初めのころはな。それがどうだよ、セフィロスと戦うだあ？　なんか、遠くに来ちまった。そんな感じがするぜ。
　いよいよセフィロスとの対決ね。あの大空洞のなか、どうなってるんだろう。セフィロスはじっとしてメテオを待っているのかな……。
　セフィロスを斃せば星を救えるんだよね。怖いけど、オイラ頑張るよ。早く行こうよ、大空洞へ！
　……セフィロス、どないしとるんやろ。
　セフィロスを斃す……愛しい女性の息子を斃す……私はまた罪を犯そうとしているのか……それとも、見ているだけだった私にできる、せめてもの償いか……。
　今度こそ、か？

　さあ、クラウドさん！（は、はい、行きましょう！　あ、あ、ちょっと待って）

　パイロット……どんなやつ？　揺らさないでくれたら、あとでユフィちゃんがサインしたげるって伝えて……。

　あっ、聞いてくれよ！　セフィロスを守っていたバリアはなくなったんだって！　でも、ルーファウスが死んでしまったから神羅軍は右往左往するばかり。ハイデッカーやスカーレットじゃ神羅をまとめるには力不足だし……せっかくなんとかなると思ったのに、これじゃ、なにも変わってないのと同じじゃないか！
　北のクレーターのバリアがぶっ壊れたんだって？　じゃあ、いまこそがセフィロスを斃す好機なわけだ。

　ルーファウスがいなくなっては、もう神羅カンパニーもおしまいじゃな……そして、この世界も。

　もうこの世は終わってしまうんじゃろうか……。

　ついに俺にもセフィロス大作戦への参加命令がくだっちまいましたよ。憧れのゲルニカにも乗れるんだけど……けどね、徹底して無視してやりますよ。俺はしぶとく生き抜いて世界の最後を見届けてやります。もし運がよけりゃね……新しい世界が俺を必要としてくれるかもしれないしね。嫌じゃないですか？　死ぬかもしれないって不安な気持ちで空を飛ぶなんて。どうせなら、スカーッと生きてる喜びに興奮しながらね。でも、その前に運転免許ですけど。

　バリアがなくなったら、お山のむこうから悲鳴が聞こえるの……。
　可哀相な声がだんだん大きくなっていくんだ！　お山さんが泣いているんだね、きっと。どこか怪我してるのかな？
　とっても眩しい光がクレーターのバリアを突き破ったんだ！　いったい、なにが起こっているんだ？

　ちくしょう、なんてエネルギーだ！　クソッ！　諦めてたまるかってんだ！