魚がうまいんだもん
Ｃ： 「あー。びっくりした」
Ｚ： 「なんだよ」
Ｃ： 「いや、幻水のチンチロリンにはジゴロはないと思いこんでたんだけど、あったよ。お金が倍になった」
Ｓ： 「そうか……幻水４はなかなか稼げないからな」
Ｃ： 「いや、ミドルポート解放してからは結構、交易で稼げるようになったぞ。真珠の扱える交易所が三か所になったからな。ビッキーちゃん酷使して交易所を三周もすると、二十万ぐらいは軽く行ける。こもれ日の紋章を無理に売ることもなくなった」
Ｚ： 「こもれ日……福引でもらってたやつ？」
Ｃ： 「そう、計三十個、まとめて売ったときには気持ちがよかった……十五万ポッチ、主人公の武器強化にすべて注ぎこまれてしまったけれども」
Ｓ： 「武器か……あればかりはレベルをあげんと、訓練所でも思うように勝てなくなるからな」
Ｃ： 「そんなことないぞ。猫たちの武器レベル８で連れていったら連戦連勝、ラインホルトまでは勝ち抜けなかったけど、っていうか、いきなり上位魔法はやめてくれ。手も足も出ない。でもまあ、おかげで主人公のレベル54、猫たちは51！」
Ｚ： 「ラスダン楽勝だろうが、それ！」
Ｃ： 「いや、このレベルだとまだ、全員コマンドを使わないと勝てない」
Ｓ： 「……武器攻撃だけで一周めをクリアするつもりか？」
Ｃ： 「そんな縛りをするつもりはなかったけど……そうか、猫たち連れてくと協力攻撃がアレだから使えないし……ということは必然的に肉弾戦になるんだな。お魚とキノコ投げあってればいいってもんじゃないってことか」
Ｚ： 「あのさ、水の紋章、いいかげん使わないか？」
Ｓ： 「うむ、これまで一度として回復魔法を使っていないぞ」
Ｃ： 「そうだっけ？ そういえば、サバの味噌煮がうまくて、そんな紋章忘れてたよ」
Ｓ： 「饅頭屋を仲間にしてからというもの……」
Ｚ： 「魚食べすぎ」
Ｃ： 「なんだよ、カニ入り肉まんだって食ってるんだからな。とにかく、おれは幸せなんだ」
Ｓ： 「そう言いながら、地下の陸竜を前にして食い倒れただろうが」
Ｃ： 「だから、あれは饅頭ごときの回復量で耐えられると信じていたおれが馬鹿だったんだ。いくら海賊王の冠つけてるからって、ＨＰ101でしのげる攻撃じゃなかったよな」
Ｚ： 「ＨＰが１になったんなら、せめて特効薬使おうぜ」
Ｃ： 「持ってない」
Ｓ： 「は？」
Ｃ： 「だから、いま持ってないっていうんだ。まあ事故なんだけどな。じつを言うと、どうせ戦闘中に使わないおくすりは全部売っちゃおうと思って、道具屋で――ミスったんだ。気がついたときには特効薬48個、全部売ったあと。おくすりばかり92個も持ってる」
Ｚ： 「………」
Ｃ： 「さあて、オベル奪回して罰大砲撃ってこよう。いよいよレベル４罰魔法解禁だ！」
Ｓ： 「自分以外を回復するだけの魔法だろうが」
Ｚ： 「同時に敵にもダメージ与えられるけどな」
Ｃ： 「うん、だからいいんだ。訓練所あたり、瀕死状態でレベル４を使ったあと諸刃の剣を使ってさっくりと自滅。レベル54のいま、返ってくるダメージは80前後だからな。罰紋、レベルがあがるごとに自分に返ってくるダメージも大きくなって厄介だけど、とにかく瀕死なら確実に戦闘不能になれる。そしてうまくすれば敵も全滅。仲間はなにもしないままレベルがあがって、主人公はそのまま。オイシイじゃないか」
Ｓ： 「……鬼畜プレイに目覚めたか？」
Ｚ： 「……みたいだな」
Ｃ： 「鬼畜といえば――島を探検したあと、じっと我慢の子で待っていたラクジーに話しかけてキャンセル。あげくに目の前で瞬きの手鏡を使うのは、とってもひどいと思わないか？」
Ｓ： 「………」
Ｚ： 「……ひどいな、それは」
Ｓ： 「だが、それが幻水４なのだ。テレポートの万能さには誰も太刀打ちできん」