ちょこぼのパルス探訪

さらば平原

Ｓ：　「さて……」
Ｚ：　「テージンタワー到着だ」
Ｓ：　「………」
Ｚ：　「……おい」
Ｃ：　「………」
Ｚ：　「おいってば」
Ｓ：　「いいかげんにせんか」
Ｃ：　「ちょこぼおおおお！」
Ｚ：　「まだ未練があるのか……」
Ｓ：　「ヘカトン戦もうわの空で」
Ｃ：　「チョコボチョコボ。チョコボがいないいいい！」
Ｚ：　「その代わり、ファルシなんとかに乗れただろ」
Ｃ：　「面白そうだけど、あれは可愛くないっ！　それに、どうやって乗ってるんだ？　おれは絶対に目がまわって乗物酔いになるぞ」
Ｓ：　「先へ進むためのものだと割りきればよかろう」
Ｃ：　「チョコボ……」
Ｚ：　「いつかまた会えるさ」
Ｓ：　「それにしても、ここいらのモンスターは軟弱だな」
Ｚ：　「いや、平原で遊びすぎてこっちが強いだけ。おかげで召喚獣戦でヴァニラとファングの武器を念のために鍛えただけで、全然改造せずに来てるしな」
Ｓ：　「おまけに平原でぐずぐずしているうちに、もう年末だ。プレイする時間もなくなってきた」
Ｃ：　「ちょこ――」
Ｓ：　「いいかげんにしろと言っている」
Ｚ：　「まあ強くなったおかげで、バトルに緊張感がないぶん、雑魚戦はのんびり観戦できるようになったじゃないか」
Ｃ：　「それもまたつまらないよな。でも初めはほんと、このバトル、いったいなんだよ？　って思ったけど」
Ｚ：　「そうそう。ひとりしか操作できねえのかあ、つまらん、なんて言ってると、とんでもない目に遭うよな。正直、バトル画面の情報量がものすごいから、とてもじゃないが三人ぶんの行動を決めている余裕はない。だから、きっぱり自分の行動だけは基本を決めておくんだな。ほかのふたりはそれに合わせてベターな行動をしてくれるんだと信頼しておくんだ」
Ｓ：　「ほう、信頼してくれているのか。それならば応えんわけにはいかんな」
Ｚ：　「え、なに？」
Ｃ：　「ザックスは見るからにディフェンサーに特化してそうだ。はい、クリスタリウムで準備して」
Ｚ：　「え？」
Ｓ：　「ほれ、クラウドを守るのがおまえの役目だろうが」
Ｚ：　「お、おう……よし、リジェネガード――」
Ｓ：　「さて、俺はジャマーか？」
Ｃ：　「アタッカーでもよさそう……大技専門でさ」
Ｓ：　「では、メテオを覚えられるロールを――」
Ｚ：　「ないない、そんなのないから！　たぶん」
Ｃ：　「じゃあ、おれはアンハンサーやろう」
Ｚ：　「アン……？　エンハンサーじゃ？」
Ｃ：　「チョコボデフロデ！　チョコボダル！　おまけのチョコボフォーグ！」
Ｚ：　「ぎゃー！　行動できねえ！　魔法使えねえ！」
Ｓ：　「……味方妨害ロール？」
Ｃ：　「そう。FF13のバトルで不満があるとすれば、味方を殴れなくなったことだ」
Ｚ：　「殴るなよ！　違うだろ！」
Ｃ：　「神羅屋敷じゃ、混乱したエアリスをうっかり攻撃したあと、おれは布団に潜って慄えたもんだ」
Ｓ：　「確かに今回、そういう遊びはないな。もっともそんな遊びをしている余裕は、このバトルにはないだろう」
Ｚ：　「だから……」
Ｃ：　「そういえば、盗むも密猟もないんだよな。モンスターたち、意外と個性があるから、いろいろ持っていそうなのに」
Ｓ：　「システムにないのだから仕方がなかろう。また一本道を進もうではないか」
Ｚ：　「そうそう、チョコボにも乗ったし、ジャガーノートもぶっ潰したし、★５個もらっただろ。ほらほら」
Ｃ：　「わかったよ」